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玉依シイナがミサトそっくりな件について

1 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/08(金) 12:24:41 ID:???
ぱくってんじゃねー。

ちなみにシイナは12歳にしてはオバサン臭すぎる。

2 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/08(金) 12:31:43 ID:???
重複です

http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1157567132/

3 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/08(金) 17:01:12 ID:jHa53lFR
シーナも29歳になったら、ああいう下品なオバサンになるのか。
その頃には16歳の娘までいるわけだが。さらに夫が認知した子供がン十人…
孫もいるな、おそらく。

4 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/08(金) 17:08:17 ID:???
世界が崩壊してるから夫も認知した子供も死んでるさ。

5 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/08(金) 20:12:55 ID:???
どこら辺が似ているのだろうか。

6 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/08(金) 23:06:40 ID:???
   ∧ ∧
   リ/ リ/
  / ̄ ̄\
  / ノ "\ ヽ
 |(●)(●) |
 /     |
(    /| |
 \__/ノ ヽ
  /   ̄  ||
(⌒イ    |`―⌒)
` ̄|     ̄T ̄
  |     |
  ヽ     人
   \ 、 /~))
   || | ((_
   (_(_亅 ヽミ
さすがのムーミンも
>>1には
呆れ果ててるようです

7 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/12(火) 23:52:11 ID:zQ5Ppee+
シイナはババ臭い…ちびまる子ちゃんを意識してるのかな?

8 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/13(水) 00:08:40 ID:???
難しい年頃なのだよ

9 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 01:01:30 ID:???
どう考えても飛鳥似だろボケ

10 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/18(月) 11:15:31 ID:???
寝起きの私にケンカ売ろうなんてあんた、バカ?

11 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/09/23(土) 22:13:18 ID:P/UoAdYK
>>9
・初期の髪型
・あんたバカ?の台詞
・母親に首を絞められる
・その為、母親になりたくないと思ってる
・最終的に生き残る

12 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/04(水) 11:43:29 ID:???
突然だがここを乗っ取ります
期間不定
「なるたる」とは何の関係もないが
同じアフタヌーンつながりってことで徹底放置希望

半年ほど前にdat落ちした元スレ
 ttp://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1127448659/

13 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 11:49:35 ID:???

「実験を中止する! 接続を切れ!」
「緊急事態。全勤務員は防護服着用の上、ただちに超構造体外へ退避せよ。繰り返す」
「実験場の上下四階は全滅だ」「侵攻は、施設内全域で同時に起きています!」
「情報パターンが直接構造材から行動ユニットを形成している…これが、この内部空洞が
 形成された理由なのか? だが質量的に、この程度で済むはずがないぞ…!」
「主任! 合成体が!」「表面の発光を止めろ、予定限界値を超えてる!」
「アダムにダイブした情報格子は、すでにデータ融合を果たしています!」
「ターミナルドグマ全域で侵攻停止を確認。合成体、さらにATフィールドを開放」
「槍だ! 槍を引き戻せ!」「駄目だ、磁場が保てない!」「沈んでいくぞ!」
「…何千世代も身体改造を重ねておきながら、ATフィールドだけが太古のまま保たれているものか。
 真実の記録は失われている。生き残る過程において、我々はあまりに多くを忘れ去ったのだ」
「合成体の物理消却だ! 少しでもいい、被害を最小限に食い止めろ!」
「階層構造体への直接入力だ! 急げ!」「ガフの部屋が開くと同時に、熱滅却処理を開始!」
「すごい…歩き始めた…」「表層部からも、歩行を確認!」
「コンマ一秒でいい! 奴自身に、アンチATフィールドに干渉可能な電力を搾り出させるんだ!」
「すでに起爆システムがS2機関に直結されています! 解除不能!」
「…ハネを広げている! 超構造体上に出るぞ!」
 (記録途絶)


14 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 11:52:43 ID:???

伝言を終え、加持は通話器を置いた。
公共通信端末のスロットから個人認証が吐き出される。習慣的に抜き取って、加持はふと動作を止めた。
特徴的に色別された表面に彼の名前とシリアルが印字され、その上に組織の表象が白く刻描されている。
「…まるで血の赤だな」
外一面に広がる廃棄区域の大梁を放電が渡り、遠く都市構造体の胸壁に達してとどろいた。
旧式の通信房の、素材変質と無数のすり傷で曇った扉を押し開け、彼は最後の仕事に向かった。

ミサトが拘束されたのは午前の執務時間が終わる頃だった。
彼女の前に立った黒い服の男たちは、慇懃かつ事務的に、身柄の一時拘束とその理由を通達した。
「…失踪? 副司令が?」
「はい。二時間前を最後に、完全に消息を断っています」
「あなたたち諜報部は何やってたの」
「申し訳ありません。ですが、手口から見て、これは我々の手の内を知る者の仕業です」
男たちは無表情だった。次の言葉が出る前に、ミサトは目を逸らした。
「加持リョウジ。失礼ですが、作戦部長とはかなり親しい関係にあると存じています」
彼女はただ息を吐いた。それから起き直って、親しげにさえ見える顔で彼らを見やった。
「それであたしのところに来たってわけね」
「職務ですので」
無駄のない動作で差し出されたボックスに、ミサトはおとなしくIDと拳銃を放り込んだ。重たい金属音がした。
彼らは丁重に礼を述べ、立ち上がる彼女を囲んだ。

15 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 11:56:23 ID:???

碇は通話器を執務机に戻し、報告の第一陣を整理した。
状況が意味するところは極めて明白であり、他の解釈の介入する余地はなかった。
碇は机上に組んだ両肘をついてしばし沈思した。やがて目を開き、デスクの直通回線端子の一つを
引き出して側頭部に繋いだ。返答があるまでその目はじっと宙を見据えていた。

冬月は闇の底に座していた。
長時間拘束されていても意志に曇りはない。だが気力はともかく、齢相応の弱さを抱えた身体は
すでに無言の悲鳴をあげはじめていた。冬月はつのりくる苦痛を押し隠し、ただ待ち続けた。
測りようもない時間の果てに闇の奥が変化し、冬月の前に巨大な審問廷が開けた。
冬月は打ちひしがれた身体に可能な限り背筋を伸ばした。
「…委員会ではなく、ゼーレじきじきのお出ましとは、随分と大げさですな」
居並ぶ存在感の方向から複数の変調音声が答えた。
「我々としても事を荒立てたくはないのだよ」
「だが、このところの碇の行動はいささか目に余るのでね」
「ご協力をお願いしますよ、冬月先生」
聞き覚えのある呼称が、冬月の頬に苦い笑いを刻んだ。
冬月先生。かつてそう呼んだ者のほとんどはもういない。脳裏に去来する記憶の群れを、彼は黙って
甦るに任せた。

16 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:00:15 ID:???
『冬月先生』だった頃、彼は第7居住区随一の総合大学に助教授として在籍していた。
専門は当時まだ新分野だった総体情報工学。学生には慕われていたが、同輩には付き合いにくい
男と思われていたふしがある。飲みに行くと大抵はその手の忠告になった。
その学生の話を最初に聞いたのも、そんな居心地の悪い一席でのことだった。そのときには名前と、
狷介なその教授をして「面白い」と言わせるレポートを書いたということを記憶するだけにとどまった。
だから翌日、本人が自ら件のレポートを携えて訪ねてきたときは驚かされた。
請われて一読した。二、三疑問点はあるものの、たちまちにしてその独創性は理解できた。
結局、冬月はその場で数回も読み通してしまった。その間学生は待たされながら何一つ口を挟まず、
冬月が作成者の存在を思い出して謝ってからも、ひたすら突然の訪問を恐縮していた。
礼儀正しく、ちょっとしたきっかけで子供のように笑う、素直でもの静かな青年だった。ただ時おり
どこか不可解な影のある目をした。彼の名は碇と言った。

17 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:02:45 ID:???
碇は正式に冬月の研究室に入り、きわめて優秀な教え子として一年を過ごした。彼の卓越した着想と
発展途上の理論構築能力は大いに冬月を刺激し、また碇もよく彼を慕い、尊敬した。べつだん碇が
他の学生らと疎遠だったというわけではない。だが、冬月と彼は学内の誰もが認めるコンビだった。
研究のための古代建造物踏査のたび、冬月はよく碇を伴って遠出した。彼とともに構造体の内外を歩き、
都市の情報構造を推測して議論を交わすのは、必ずしも学究的な意味のみに限らず、冬月にとって
他の何にも替えがたい時間だった。
碇が誇らしかった。だから、卒業後大学を離れると打ち明けられたときには少なからず衝撃を受けた。
碇は何度も侘び、心からの感謝の言葉を告げ、そして素晴らしい成績を残して去った。
彼がいなくなった後、学内で奇妙な風説がささやかれた。碇の背後にあるという巨大組織についての
憶測とも恐れともつかない曖昧な噂だった。その組織はゼーレと呼ばれるという話を、冬月は
その後耳にした。
翌年、セカンドインパクトが階層を襲った。

18 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:05:42 ID:???
居住可能区域が最低限の機能を取り戻すのに一年余りかかった。
セカンドインパクトから二年、冬月はその原因調査隊の一員として“南極”にいた。
厳重に防護処置の施された舷窓から見渡す光景は死そのものだった。旧観測基地は消滅。周辺を
構成していた都市構造物は全て破壊され、焼けただれ、完全に機能を失っていた。補修に来るはずの
建設者の気配もなく、観測できる限り、広く露呈した超構造体のみが完璧な姿を晒していた。ただ一つ、
内部を埋めていた堆積層を失い、全き虚ろとなったあの半内部空洞を除いて。
旧型の航洞船は全てが死に絶えた闇と静寂の中を進んだ。
調査に携わるうち、冬月は旧葛城調査隊の構成員の中に旧知の名前を見つけた。その人物は幸運にも
セカンドインパクト前日に南極を離れ、今は、数週間中に都市連直属の非公開組織として新設される
人工進化研究所なる調査研究機関への配属が内定していた。
調査隊帰国後、セカンドインパクトの原因は都市機能の局地的暴走だと発表された。だが冬月にとって
それは明白な情報操作の結果に過ぎなかった。きわめて迅速に抹消されていく真実の周囲には常に、
ゼーレという単語が見え隠れしていた。
生存は意味を変えた。葬られた闇の真相の究明が、冬月にとってのその後となった。
たとえ、その先に碇の名があるとしても。

19 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:07:30 ID:???
のちの第三新東京市建造予定地は、当時は輸送軽軌道も通らない未開発区域だった。
一本きりの貧弱な人造仮設軌道の先には、種々の環境維持設備に囲まれて、要塞めいた研究所があった。
国連調査隊報告を含む数々の証拠を持ち込み、真相を公表すると迫った冬月に、碇はただ微笑した。
冬月に師事していた頃と変わらない笑顔だった。両目に落ちる影だけが暗さを増していた。
その目を見ながら、冬月は率直に、セカンドインパクトを起こした者たちを許すつもりはないと告げた。
碇は頷いた。そして、見せたいものがあると言った。
疑いつつ、冬月は承諾した。思えばその時点ですでに流れに取り込まれていたのだろう。
その日、彼はもう一つの超構造体半内部空洞を目にした。

20 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:09:42 ID:???
巨大な審問廷に座し、冬月はあの暗い空間で見たものたちを思い出す。
太古に何者かが残した球状空間を埋める膨大な堆積層の深部で、碇は巨大な人型を建造していた。
それこそが南極で起き、そしてこれから起こる全ての事象の核心なのだと、冬月は聞かされ、また自らも
そう直感した。それだけではなかった。南極の超構造体半内部空洞から得られた古代の未知の情報を
もとに組み上げられていく再現体は、まさしく総体情報工学の精髄であり、その最大の結晶だった。
それをアダムより生まれしもの“エヴァ”と呼ぶ碇の傍らから、冬月の知己でもあった当代最高の
人工知性研究者、赤木ナオコ博士があでやかな笑みを見せた。
暗い縦坑の底で、碇はもう一つの申し出を行った。
冬月は、それを受け入れた。
そこから現在に繋がる全てが動き出した。

21 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:11:14 ID:???

ミサトは闇の中で薄目を開いた。
狭い独房に自分の息遣い以外の音は存在しなかった。固い椅子の上に上げた両膝を抱え、彼女は
自分の両腕の間に顔をうずめた。
考えないようにしてもなお浮かんでくるのは、15年前、同じように膝を抱えていた頃のことだ。
史上最悪の悲劇と呼ばれたセカンドインパクト。消滅した南極基地の唯一の生存者として、同時に
父親を失った娘として、彼女は完全に自分と自分を取り巻く世界を見失い、丸二年間というもの
失語症の殻にこもっていた。周りのことも認識できない精神的白闇のただなかで、彼女にとっての現実は
南極最後の日に見たあの巨大な光芒だけだった。記憶は繰り返し再生され、やがて消えることのない
絶対像として脳裏に刻まれた。
暗い都市空間を貫いて聳え立つ光。最後まで向き合えなかった父を奪ったもの。
その像が、その正体を突き止めたいという衝動に変わり、自ら形を整えるのに時間はかからなかった。
彼女は再び生きることに立ち戻った。

22 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:15:29 ID:???

…ミサトさん?
そ、葛城ミサト。よろしくね〜。
ひどく若々しい声の幻がリツコを長い黙考から引き戻した。午後だった。
溜め息をついて、彼女は新しい煙草に火をつけ、煙を吐き出した。
横目で端末を一瞥した。
何が起こったかは知っていた。できることは何もないとも知っていた。
投げやりに逸らした視線の先には照明を落とした室内の奥深い薄闇があった。

ミサトと知り合ったのは、当時すでに階層最高学府の一つと言われた総合大学に入ってまもなくの
頃だった。母の名前から自然と彼女を遠巻きにする学生たちの中にあって、ミサトは何の屈託もなく
リツコに声をかけてきたのだった。
葛城調査隊との関わりはすぐに知れた。南極からの唯一の生還者であることや、その後長く後遺症を
引きずっていたことなどは、聞かずとも勝手に耳に入ってきた。つまり、ミサトもまた、リツコとは別の意味で
学内では有名人だったのだ。そう了解して見れば、彼女の快活さや磊落さはもともとの性格である以上に
努力の産物だと窺えたし、常人にははかり知れない目的のために生きているらしいこともわかったが、
リツコはミサトを遠ざけようとは思わなかった。
赤木ナオコの娘であるだけの自分を変えたいという打算もあったかもしれない。それでも一年も経つ頃には
二人は自他ともに認める親友になっていた。
大胆で気さくなミサトと、シビアかつ頼れるリツコ。学内での二人の個性は不動となり、“有名人”の冠も
重荷ではなくなった。今や、二人は特異ではなく特別な存在だった。
そしてもう一人、加持がいた。
十日間にわたる突発的失踪の果てにミサトが紹介してきた彼は、初対面からあの軽薄な調子だった。
正直、リツコはあまり好感を持てなかった。持てなかったが、三人はその後しょっちゅう行動をともにしては
あれこれ芳しくない武勇伝を打ちたて、そのたびに腹の底から笑いあった。
当時の写真は今も引き出しの底にしまわれている。

23 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:16:57 ID:???
卒業後、リツコは母のいるゲヒルンへ進んだ。
母は心から喜んでくれた。母とともに、彼女はそこで階層の次世代を担う新型電脳の開発に没頭した。
充実した日々だったと、今は思える。
入所してまもない頃、彼女は母とともに超構造体外施設で碇所長と行き会った。晴れやかな笑顔で
所長と親しげに言葉を交わす母の後ろから、リツコは緊張と好奇心が半々の視線を向けた。頭には、
所長自らが被験者となったという、数年前の総体情報合成体第一号との接続実験のことがあった。
所長は熱っぽく語る母に微笑しつつ頷いていた。多少表情に影はあるものの、母が洩らしていたような
実験による人格的心理的な後遺症は窺えなかった。 周囲がひそかにささやいている、ネットスフィアと
わずかであれ接触したような可能性も、やはり感じとれなかった。
所長は小さな女の子を連れていた。セカンドインパクトで罹災した知人の子を引き取ったという話だった。
極度に寡黙な、人形めいて無表情な子供だった。それがレイを見た最初となった。

24 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:21:36 ID:???
MAGIシステムが完成した夜、リツコは母の傍にいた。
二人で組み上げたMAGIは人格移植OSを搭載した三つの主電脳からなり、今後整備の進む人造ネットで
階層居住人類の今は忘れられた補助身体機能の一部を再機能させ、また限られた資源で居住区を
効率的に長期存続させる高度な管理能力を実現した。真新しい筐体に収められた三電脳を眺めながら、
母はそれらの内部に体現された三人の自分の話をしてくれた。
同じゲヒルンのドイツ支部に所属が決まったミサトが、久しぶりに帰国した日でもあった。上の街で
待ち合わせていたリツコは、MAGI完成の充足に浸る母を残して一足先に退出した。母が、たとえ無意識下
にであれ、共同研究者である自分よりも碇を待っているのを、察したからでもあった。
その十数分後、母は主管制階からMAGIの筐体に身を投げた。即死だった。
翌日、都市連は使徒の調査研究組織であったゲヒルンを解体。新たに使徒殲滅の実行組織として
特務機関ネルフを発足し、即日全ての人員と設備を旧ゲヒルンから移籍した。リツコはエヴァの
建造配備計画、通称E計画の主任科学者として、同じくネルフに入ることとなった。
母の葬儀に、ネルフ総司令を拝命した碇の姿はなかった。

25 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:24:10 ID:???

…冬月先生、私、ときどきあの人が何を考えているのかわからなくなることがありますわ。
常に意欲的で華やかだった赤木ナオコ博士が、珍しく心細げに洩らしたことがあった。レイについて、
それとなく探りを入れてきた日のことだった。
その六年前、碇は自らを被験者として、建造後まもない初号機との初の接続実験を行った。結果は悲惨だった。
接続時の衝撃で碇は深刻な情報的混乱に陥り、以後一ヶ月に渡って昏睡状態が続いた。報道攻勢、都市連に
よる緊急査察、数回の疑獄騒ぎ、階層社会からの一方的な白眼視、冬月は組織の維持と防衛に忙殺され
ろくに碇の見舞いにも行けなかった。突然の職務復帰の知らせに驚き、かつ憤って駆けつけると、碇は実験前と
全く変わらない様子で執務についていた。予感が詰問を止めた。立ちつくす冬月に、碇は簡潔に告げた。
本日付で委員会に新たな計画を提唱した。アダム計画、E計画と並び遂行されることになる。
冬月はただ碇の目を見ていた。いくら凝視しても底の知れない目だった。
口元だけで笑い、碇は頷いた。
そうだ。かつて誰もがなし得なかった世界の再機能。人類補完計画だよ。
冬月はこわばった瞼を開いた。
闇の奥行きが変化していた。空間がほのかに明るみ、広大な床と高い壁面をかいま見せている。
振り向くと光の源が見えた。
開いた戸口に見慣れた人影が立っていた。冬月は顔をしかめた。消耗した身体のあちこちが軋んだ。
「…この行動は、君の命取りになるぞ」
拘束を解きながら加持は無言で微笑し、冬月を助け起こした。

26 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:26:35 ID:???

白い光とともに独房の扉が引き開けられた。
ミサトは顔を上げ、両脚を下ろした。照明光の中に先の諜報部員らがいた。認証と銃を受け取り、
弾倉を確かめた。実弾の列は小気味いい金属音をたてて銃身におさまった。
「もういいの?」
「はい。問題は解決しましたので」
「…彼は?」
「存じません」
ミサトは目を伏せた。

旧型の送風機が巨大な回転翼で光を分断していた。
加持は規則的に落ちる影の下で待っていた。そむけた横顔が逆光に染まっていた。
振り返り、笑いかけた。
「…よ。遅かったな」


27 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:31:48 ID:???
背後で扉が閉まり、外の暗闇を締め出した。
「ただいま」
両脚の習慣的な動きに任せて玄関を上がり、廊下を過ぎ、誰もいないダイニングに入った。
何を始める気も起こらず、しばらくそのままそこに立っていた。
家の中は静まり返っていた。在宅しているはずの同居人たちの姿も見えなかった。
ふと、片付いたテーブルの上で共有端末の留守録表示が点滅しているのが目に止まった。
よろめき寄り、おぼつかない指先で再生キーを押した。
平坦な信号音に続いて、本人の声が伝言を語り始めた。溢れそうな感情に耐えて聞いた。聞くほかなかった。
長い再生が終わった。
記憶も情報も保存する手段は幾らでもあるのに、こんな旧式で不完全な方法でしか残していかなかった。
不在の始まりを悟った瞬間、視野が崩れた。体重を受けてテーブルが動いた。
押し殺した声が震え、涙が幾滴となく端末の上面に滴って、伝い落ちた。点滅する表示灯がにじんで流れ、
ふいに気がついて顔を上げた。もう一件、受信情報があった。呼び出すと文字情報が一行だけ現れた。
すがる目を凝らした。
第三新東京市郊外のある座標がそっけなく示されていた。
ミサトは上体を起こした。
無言で涙を振り払う。車のキーを掴み、彼女はあわただしい足音を残して飛び出していった。
隣室で、アスカがふと顔を上げ、また個人端末の情報に没入した。

28 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:35:41 ID:???
一面に開けた廃棄区域の大梁を放電が渡り、遠く都市構造体の胸壁に達してとどろく。
青いアルピーヌ・ルノー改は派手にタイヤを軋ませながら急停車した。キーも抜かずに飛び降り、
ミサトは長距離軌道脇に広がる廃墟へ走った。
劣化した肋材の下で、人影が平盤の果てに視線を放って煙草を吸っていた。
乱れた足音に顔を上げた瞬間、飛びついてきたミサトごと、加持は埃っぽい床面に勢いよく倒れ込んだ。
ミサトは泣きながら馬鹿馬鹿と口走り、加持は黙ってその涙の熱さと、抱きしめる両腕の強さを感じていた。
その後、二人で並んで車にもたれているとき、加持は伝言を聞いたかと訊ねた。
ミサトは頷き、軽く目元を拭った。そして急にどきりとするほど艶のある流し目をくれた。加持が息を呑むと
表情を崩し、子供のように笑った。加持も照れまじりに笑った。それでようやく会話が戻った。
「その、訊かないのか?」
「何を? …八年前?」
「ああ…あれなんだが、つまり」
「訊かないわよ。
 八年も聞きそびれてるんだもの、もう一度自分から言ってくるまで待つわ。そうでしょ」
「…参ったな。やれやれ、つまりは俺に、自分の口で言えってことか。何ともまぁ、彼らしいのかな」
「彼?」
「ああ。てっきり消されるかと思ってたんだが、違ったとはね」
加持は一度目を逸らし、真顔になって風の中に長く煙を吐き出した。
「俺は助けられたのさ。碇司令にね」

29 :log.21 ネルフ、誕生:2006/10/04(水) 12:36:53 ID:???
ミサトの目が数回素早くまたたいた。事態を察してこわばった頬を、風に舞い上げられた髪がかすめた。
加持はそれを離れがたい目で見ていた。
「…なぜ?」
「葛城が泣く。そう言われたそうだ。ま、例によって一切の証拠は残らないんだろうが」
「私…? どういうこと」
加持は曖昧に首を振り、言葉を続けた。
「最後の使徒を倒すまでは、俺も副司令も、とりあえず首はつながってるってことらしい。
 委員会との手打ちは、碇司令自身が行った。そういうことだ。俺が今もいられる理由はそれ以外ないさ」
ミサトは黙って加持の言葉を受け止めた。そして、再び口を開いた。
「けど、その後はどうするの。どこへ行こうとしているの、…碇司令と、霧亥君は」
「…さてね。碇司令も、この行動の結果までは予測できないんだそうだ」
ミサトは何か言いかけて口ごもり、結局黙ったまま視線を転じた。
「…この先は、闇の中へ、か」
「そうだ」
紫煙が薄れ、二人は並んだまま、同じ都市構造の彼方を眺めた。


log.21 終
読んでくれた人いたらサンクス
あと個人的にシイナはミサトとはあんま似てないと思う 無理して明るくしてるわけでもないし

30 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 12:37:59 ID:???
廃棄領域 遠い都市構造体の灯に囲まれた闇を渡る第七浮甲艦隊
艦隊中央の輸送艦
戦洞機が列をなす上甲板
走路の端にそれぞれの姿勢で寛いでいる二つの人影
 .アスカ「あーあ、明日はもう日本か。新横須賀にはミサトが迎えに来ることになってるし、
     ちぇっ、加持さんともしばらくお別れね」
投げ出された脚 器用に修復された発掘財の再生装置から低く流れる音楽
 .アスカ「あ、ミサトってのは、加持さんの前に向こうにいたヒト。
     あんまり好きじゃないんだ。生き方、ワザとらしくて」
頭上に瞬く通信橋の赤い警戒灯 彼方を緩慢に動いていく構造体上の淡い群光
 加持「日本に着けば、新しいボーイフレンドもいっぱいできるさ。サードチルドレンは
     男の子だって話だぞ」
 .アスカ「馬鹿なガキに興味はないわ。私が好きなのは加持さんだけよ」
両腕を枕に頭上の闇を見つめる加持
 .アスカ「そう、加持先輩にだったら、いつでもOKの三連呼よ。キスだって、その先だって!」
 加持「アスカはまだ子供だからな。そういうことはもう少し大人になってからだ」
 .アスカ「え〜〜?! つまんな〜い、私はもう充分に大人よ」
 加持「ほらな。そういうこと言うのは、まだまだ背伸びしたがってる子供の証拠さ」
親密で疎遠な会話 笑い声 航行する艦の機関振動
音楽が止められる
立ち上がる気配 手を振って離れていく人影 消される笑顔
 .アスカ「…ちゃんと、私を見てよ。加持さん」


31 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 12:48:02 ID:???
再開された本部第七実験場
エヴァ各機との定例試験を受ける操縦者三人
主コンソールに表示されたシンクログラフは試験結果を受け01、02、00の順で並んでいる
 伊吹「弐号機シンクロ率、前回より2ポイント上昇。ハーモニクスも全て良好です」
  リツコ「物理脳の状態は?」
 伊吹「神経活性領域の相当部分が、エヴァとの接続相形成に回っています」
  リツコ「…まずいわね」
敏感に顔を上げるミサト
  .ミサト「そお? 脳神経の活性率は、個人差とか、本人のその日の体調や精神状態で
     けっこう開きがあるんでしょ。前に言ってたじゃない」
  リツコ「だからって、この数値は普通じゃないわ」
居心地悪げに片足に体重を移しかえるミサト
  .ミサト「…アスカ、今日調子悪いのよ。二日目だし」
伊吹の後ろからコンソールに屈み込み二、三微調整を加えるリツコ
  リツコ「エヴァとのシンクロは、表層的な物理身体の状態には左右されないわ。
     問題はもっと深部にあるのよ。本人が自分で脳を何度も再設定したらしき形跡もあるし」
 伊吹「現在の脳神経活性配分は、自律神経系に支障が出る限界、ぎりぎりです」
唇を噛むミサト
無表情に操作を続けるリツコ
  リツコ「とても努力してるのよ、アスカは。今の自分のポジションを維持するために」

32 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 12:48:53 ID:???
自分まで辛そうな顔の伊吹
  リツコ「確かに成績は優秀よ。本人の今の状態を考えれば、優秀すぎるくらいだわ。
     でもいつ何のきっかけで崩れるかわからないものを、手放しで評価することはできないの。
     やはり、機体修復作業はレイの零号機を優先させることにするわ」
溜め息をつくミサト
  .ミサト「…この間の戦闘のこと、まだ吹っ切れてないみたいだもんね」
  リツコ「使徒に勝てなかったというより、霧亥君に負けたと思い込んでる方が大きいわね。
     その後のあれ、見てたようだしね。勝ち逃げされたとでも思ってるんじゃないかしら」
  .ミサト「ん。…っていうより」
目を上げるリツコ
両肘を抱いてモニター列のアスカを見つめているミサト
  .ミサト「置いてかれるんじゃないかって、焦ってるのかもね」

テスト後、レストルームで洗面所に屈み込むアスカ
頭を上げ、吐気に青ざめた自分の顔を睨む
 アスカ「なんで女だからって、こんな思いしなきゃなんないのよ…!
     知覚や身体情報技能を拡張するなら、どうして余分な生理反応を制御しないのよ。
     技術さえあれば、こんなの、すぐになくせるに決まってるのに」
自分の身体を見下ろし、片手でぎゅっと抱くアスカ
 アスカ「…子供なんて、絶対いらないのに」
排水口に吸い込まれる空ろな水音
外の通廊に人の気配はない

33 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 12:49:40 ID:???
再整備の進むジオフロント
修復中の本部施設を背にベンチに掛けているミサトと日向
  .ミサト「…エヴァ八号機から十三号機までの建造を開始? 階層内七箇所で?」
 日向「“上海”電錯網経由の情報です。ソースに信頼は置けます」
  .ミサト「この時期にエヴァを量産…? おかしいわね。ここにしたって、零号機と弐号機の修復には
     ドイツで建造中の伍号機や六号機のパーツを回してもらってる状態なのに」
 日向「使徒の、複数同時展開を想定した動きでは? ここに来て、都市連側も使徒襲来の脅威を
     ようやく全面的に公表し始めましたからね」
  .ミサト「晴れて大々的な迎撃作戦を開始すると? …違うわね。碇司令や委員会がその程度の理由で
     動くとは思えないわ。何か別の狙いがあるのよ」
膝の上で資料を揃え直す日向
 日向「じゃ、個人的に、もう少しばかりつついてみます」
  .ミサト「わかったわ。くれぐれも、慎重にね」
 日向「任せといてください。…加持さんも、今は動けませんからね」
顔を向けないミサトの前を通り過ぎ、本部施設に戻っていく日向
視線だけ上げて後ろ姿を追うミサト かすかに唇を噛み、目を逸らす

34 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 12:52:39 ID:???
長い影の落ちる総司令執務室 各所に修復・再建の跡
巨大な耐圧窓からジオフロントを眺める碇
少し後ろに立っている冬月
 冬月「彼の処置、向こうはずいぶんとあっさり引いたな」
   碇「彼らもサードチルドレンに直接手出しするほど馬鹿ではない。彼が介入を承諾した時点で、
     我々の成功は確定していた」
 冬月「…重力子放射線射出装置、か」
   碇「我々の技術ではいかなる物理的干渉をも果たし得ない絶対線、超構造体。
     現時点で唯一あの銃のみがあれを貫通できる。それを持つ彼を敵に回したくはあるまい」
 冬月「超構造体は我々の限界であると同時に庇護者でもある。たとえそれを突破することが自由の
     同義語だとしても、それに立ち向かう覚悟は未だ、できていない、か」
焼けただれた堆積層の表面を見ている碇
   碇「我々は外部に背を向け、階層の内で繁栄する道を選んだ。所与の堆積層から遺物を発掘し、
     技術回復ではなく過去の時代の模倣に没頭している。それは再興ではなく自閉だ。我々は
     苛酷な外部環境に順応していけるよう自らを改造することもやめてしまった。ひたすら己の
     内側に向かって分岐と融合を繰り返し、多様化複雑化することで最終的な停滞を回避できると
     信じている。だがそれらは変化としてはなきに等しい」
碇の後頭部を見る冬月
 冬月「…だが、サードチルドレンは我々の手の内にあるわけではない。
     もし彼が離れると決めたら、我々には止められん。その時は委員会はこちらに対して
     容赦せんぞ。初号機の凍結処置を延長したのも、今度の件の報復と牽制のつもりだろう」
   碇「わかっている。委員会の承諾なしに凍結を解除すれば、彼らは外部侵攻を待たずにここを占拠する。
     いずれにせよ、重力子放射線射出装置が突出した発言力であり続けるのも長くはあるまい」
 冬月「使徒が、重力子放射線を使ったからな。
     となると、場合によっては今後外部侵攻が早まる可能性も発生したわけだか。たとえ彼の進入が
     原因ではないにせよ、使徒が、これからも超構造体を傷つけないという保証はない。
     …人間には、時間がないな」
   碇「ああ」

35 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 12:54:36 ID:???
ミサトの個人居住区
ダイニングのテーブルで黙々と食事を摂るミサト、アスカ、霧亥
完全に会話を拒絶しているアスカ
共有回線から着信音
硬くなる場の空気 ためらったのち口を開くミサト
  .ミサト「アスカ、…悪いけど」
 .アスカ「嫌よ。どうせ加持さんから、ミサトへのTELでしょ」
  .ミサト「それはないわ」
一瞬ミサトの顔を見るアスカ
黙って席を立ち、室内を横切って通話器を取る霧亥 とたんに外向けのポーズを取り戻すアスカ
 .アスカ「あ〜ら、無敵のキリイ様にそのような雑務を! 申し訳ありませんわね〜」
ちらっと振り返る霧亥 何となく溜飲を下げるアスカ
そのまま戻ってきて通話器をアスカに突き出す霧亥
 .アスカ「…何よ」
 霧亥「お前にだ。母親だと言ってる」
 .アスカ「ママが? …っ、貸して!」
通話器をひったくり、席を蹴ってわざわざリビングまで行ってから喋り始めるアスカ
憮然としてミサトを振り返る霧亥
 霧亥「あれはなんだ?」
二人を見比べ、ちょっと表情を緩めるミサト
  .ミサト「んー? ドイツ語。アスカが前住んでた、第15都市連結体の共通言語よ」
 霧亥「そうじゃない」
異言語で楽しげに喋るアスカを見ている霧亥
少しの間一緒に見つめるミサト

36 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 12:56:24 ID:???
  .ミサト「…それは、あとで本人に直接訊いた方がいいわね。先に、食べちゃったら?」
黙って食卓に戻る霧亥 長電話に憤然とリビングから退避してくるペンペン
かれこれ20分は喋り続けてようやく戻ってくるアスカ 無言で通話器を放り出し、席につく
促し顔のミサトを一瞥する霧亥
 霧亥「…随分喋ってたな」
気のない顔で霧亥に目をやるアスカ 憂鬱そうな表情
 .アスカ「…いつものコミュニケーションよ。家族の会話ってやつ。ここんとこ、直信してなかったから。
     ま、だからって、長話しなくてもいいんだけど。そんなに好きな相手じゃないし」
 霧亥「笑ってた」
 .アスカ「慣れてるってだけよ。お互い、会話してても実がないのよ。外ヅラだけ、仲いいのは。
     ほんとのママじゃないしね…ッて、なんであんたにこんなこと話さなきゃなんないのよ!」
 霧亥「別に訊いてない」
 .アスカ「何よ、話しかけてきたのあんたでしょ!」
頭上の言い合いを避け抗議顔でリビングへ再疎開するペンペン
笑ってビール缶を傾けるミサト

本部の休憩スペースで短い休息をとるミサトとリツコ
  リツコ「…で、加持君とはその後、一度も会えないまま?」
  .ミサト「…、そ。直接通話もなし」
言葉に合わせて勢いよくコーヒー缶を開けるミサト
仏頂面を見上げて笑うリツコ
  リツコ「最悪の結果にだけはならなくて良かったじゃない。彼、今は事実上碇司令の直属なんでしょ。
     身の安全だけは一応、保証されてるわ。ここと碇司令自身が危うくならない限りはね」
冷静にカップを卓上に戻すリツコ 横の壁にもたれたままぶーたれるミサト
  .ミサト「おかげでいっそがしいみたいだけどね」
  リツコ「職務に邁進ね。旧友に顔を見せにくる暇もないくらい?」
  .ミサト「なーぁによ、他人事みたいに」
  リツコ「他人事だもの。私はね」
一瞬言葉につまるミサト

37 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 12:58:44 ID:???
  .ミサト「…ごめん。なんか浮き足立ってるわね、あたし」
微笑するリツコ
  リツコ「心配事が少なくて済む証拠よ。…それとも、単に他のことがお留守になってるだけかしら?」
  .ミサト「〜ったぁ、もう」
むくれてみせるミサト やや真顔になって缶を口元に当てる
  .ミサト「…ま、そうかもね。あの子たちとの同居が、ここまで続いてくれるとは思わなかったから」
  リツコ「ごっこだった関係が、少しは本物になってくれそう?」
  .ミサト「んー…未だ断定はできず、だけどね」
  リツコ「そうかしら。あなた、家に帰るのが嫌だって顔はしてないもの」
再びリツコを見るミサト
微笑した顔のまま煙草に火をつけるリツコ
  .ミサト「…ね。今度、うちに寄ってかない? いつかみたいに晩ご飯くらいご馳走するから」
  リツコ「そうね、そのうちにね。じゃ」
卓上のレポートをまとめて立つリツコ

 .アスカ「…どういうことよ、あたしと弐号機だけ再調整ってのは!」
気まずい沈黙に包まれた第七実験場管制室
一人周囲を睨みつけているアスカ
 .アスカ「凍結中の初号機はともかく、なんでこの女が戦闘待機で、弐号機は準待機なのよ!
     機体の修復はもう完全に済んでるじゃない!」
答えないミサト 両手を止めてコンソールを見ている伊吹
  リツコ「許可なく機体のファイルを見たのね」
 .アスカ「そう、見たわよ。悪い?! だからごまかしても無駄、知ってるんだから!」
厳しい表情でアスカを見据えるリツコ
  リツコ「では答えるわ。確かに弐号機の修復作業は完了したわ」
  .ミサト「…、リツコ」
止めようとするミサト アスカの表情が険しくなる
 .アスカ「問題なのは、パイロットの方だっていうわけ?」
  リツコ「そうよ」

38 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:08:31 ID:???
無言で佇んでいるレイを睨みつけ、憤懣を爆発させるアスカ
 .アスカ「…どうしてよ! シンクロ率はあたしの方がずっと高いし、安定してるのに! 知ってるのよ、
     今日だってほんとは何も問題なかったんでしょ! いつまで経っても無自覚無関心なキリイや、
     この人形女とは違うわ。私は一人でもMAGIと連携できるし、エヴァの言語基体だって読めるわ!
     どうして認めてくれないの?! あたしは問題なく弐号機に乗れるわよ! この私のどこが、
     こんな女なんかに負けてるって…」
  リツコ「アスカ」
口をつぐむアスカ
どこか悲しげな顔でアスカを見るミサト
  .ミサト「…アスカ。私たちが勝たなければならない相手は、使徒なのよ。お互いじゃないわ」
沈黙するアスカ
冷静な口調で告げるリツコ
  リツコ「弐号機の再就役を延期するのは、パイロットのあなたとの神経接合にまだ調整が必要だからよ。
     いくら数値として霧亥君に迫っていても、無理をして出した成績は正しい結果とは言えないわ。
     あなたなら、その意味はわかるはずよ」
両こぶしを握りしめてリツコの顔を凝視しているアスカ
  リツコ「弐号機にはもう数日、再調整のための追加試験を設定するわ。それが技術局の判断よ」
 伊吹「これ以上、脳神経に負担をかけるのは危険すぎるの」
  .ミサト「あなたのためでもあるのよ、アスカ」
長い沈黙 ふいに激しい憎悪の眼差で室内の全員を見回すアスカ
 .アスカ「…建前ね。
     そんなこと言っても、どうせ使徒がくればあたしも出さざるを得ないくせに」
鋭くミサトを睨みつけるアスカ
 .アスカ「アナタのため? そういうことは、私じゃなくて、自分の子供に言えば!」
身をひるがえして駆け出していくアスカ
無言のレイ 答えを持たない大人たち
アスカが去った廊下を見ている霧亥

39 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:09:49 ID:???
本部直通の軌道車輌から降りるアスカ 再試験を済ませて憂鬱な表情
ホームに残って携帯端末を取り出す 横で発車する車輌
 アスカ「…やっぱり、連絡つかない」
携帯を鞄に押し込むアスカ
 アスカ「本部でも会えない。直信も届かない。…どこにいるの、加持さん」
ふと振り返るアスカ
同じ車輌に乗っていたらしい霧亥とレイの後ろ姿が出口へ遠ざかっていく
投げやりな目で二人を追うアスカ
一目で階層外品とわかる武骨なスキンスーツに身を固めた霧亥に顔をしかめる
 アスカ「…何よ、いつも遅くまで、断りもせずにどこかをほっつき歩いて」
霧亥の少し後ろを黙って歩いていくレイ
執拗にその姿を注視している自分に気づくアスカ
身をひるがえして反対側の出口へ歩き始める

40 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:11:07 ID:???
本部施設内 無人のホールでエレベーターを待つアスカ
階数表示が点灯しチャイムの音とともに扉が開く
一瞬ひるみ、それから意を決したように中に踏み込むアスカ 動き出すエレベーター
動力機構の長い駆動音
扉正面に立つレイの後ろ姿
  レイ「望まずに接触し続けても、エヴァは近づかないわ」
弾かれたように目を上げるアスカ
 アスカ「無理矢理エヴァに乗ってるってぇの?! この私が?!」
  レイ「そう、エヴァはあなたじゃない」
 アスカ「私が? あの人形に?」
頭を振り、大げさに両手を広げてみせるアスカ
 アスカ「あーあ、あんたから声をかけてくるなんて、明日は居住圏丸ごと大停電かしらね。
    …何よ、私がエヴァにしがみついてるのがそんなに滑稽? 心配しなくても、使徒がくれば
    無敵のキリイ様と初号機がやっつけてくれるわよ。
    けど、ずっとそれじゃいらんないのよ。いついなくなるかわかんない奴にべったり頼って、
    自分が何もできないんじゃ、意味ないの! …一人でやれなきゃ駄目なのよ、この私は!」
佇んでいるレイ
少し息を抑えるアスカ
 アスカ「ハン、機械人形みたいなあんたにまで心配されるとは、この私もヤキが回ったわね」
わずかに空気が変わる
  レイ「…わたしは人形じゃない」
敵意を剥き出すアスカ
 アスカ「うるさいッ! 他人に言われたまま動くくせに。
    あのキリイより悪いわよ。あんた、碇司令が死ねと言ったら死ぬんでしょ!」
  レイ「そうよ」
チャイムの音
到着し、扉を開くエレベーター
逃げるように外へよろめき出るアスカ
開いた扉を正面に立っているレイ ほとんど表情のない白い顔に強く頬を打たれた痕
見つめるレイの眼差を残して扉が閉じる

41 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:12:41 ID:???
格納廠 装甲換装を終えて通常装備に戻っている弐号機
整備橋の真ん中から見上げているアスカ
 アスカ「…何が気にくわないのよ。自力でシンクロを強化することの、どこがいけないの?」
正面にそびえる弐号機の頭部
 アスカ「たかが神経接続なのに、なんで望んだりする必要があるのよ。ただの兵器なのに」
電源遮断状態の四つの頭部カメラ
 アスカ「とにかく、私の思う通りに動いてりゃいいのよ」
物言わぬ弐号機の頭部
我に返るアスカ
急に意識されるケイジの広さ
 アスカ「…馬鹿みたい」
突如廠内を満たす警報音
 青葉『総員、第一種戦闘配置。対空迎撃戦用意』
一瞬立ちすくむアスカ
 アスカ「…使徒。まだ来るの」

42 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:14:47 ID:???
発令所 既存最遠探査体の最大望遠で捉えられた使徒の映像
全会一致でパターン青の見解を出すMAGI
真っ暗な廃棄領域に浮かぶ光輝をやや不鮮明に映す主画面
 青葉「直線距離にして、約70km。実体と思われますが、探査体が検出した漏出粒子および放射量では
     あの強い光が説明できません」
  .ミサト「何か、検出不能な未知のエネルギー波の放出…?」
 伊吹「該当するパターン、ありません。現在得られるデータだけでは、推測不能です」
 日向「探査体の座標から、軽く空洞二つは離れてますからね。観測精度にも限界があります。
     不規則に移動しているようですが、こちらとは常に一定の距離を保っています」
  .ミサト「黙ってても近づいてきちゃくれないようね」
 日向「探査体の存在には気づかれてます。こちらの出方を見極めて、一気に来る気でしょうか」
  .ミサト「もしくは、近づくまでもなくこっちを攻撃する手段があるかよ」
待機するエヴァ各機を一瞥するミサト
格納廠で待機状態にある零号機と弐号機 未だ初号機の凍結命令は解除されていない
決断し、画面のレイを見上げるミサト
  .ミサト「エヴァを短時間であそこまで輸送する手段はないわ。よって、零号機を都市部表層に配置。
     超長距離射撃により目標の撃破を試みます」
 伊吹「了解。零号機、出撃準備」
   .レイ『了解。作戦内容を確認。出撃準備に入ります』

43 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:15:37 ID:???
  .ミサト「弐号機はそのまま待機。敵が何らかの反撃を行ってくる場合に備え、まずは零号機単機で行くわ」
  リツコ「…出さないの? 対応が遅れるわよ」
  .ミサト「敵への攻撃手段が限定されてる以上、バックアップが臨場する意味はないわ。
     …確かに余裕、ないかもね。けどそれなら余計に、使えるエヴァは慎重に動かすわ。今弐号機を
     出したら、アスカが言ってた通り、ここが切羽詰ってるって認めることになるもの」
言い切るミサト じっと見つめるリツコ
と、射出口へ移送される零号機の動きが急に停止する
  .ミサト「どしたの!」
 青葉「零号機の主システム、応答なし! 機体射出機構の一部がロックされています!」
 日向「! エヴァ弐号機、起動!」
顔色を変えるミサト
  .ミサト「…アスカ!」
勝手に射出機構を単独起動し、発進態勢に入る弐号機
 冬月「パイロットか?!」
   碇「…いかん。ただちに弐号機の全システムを遮断しろ」
ただちに介入を開始するリツコ
  リツコ「緊急停止命令送信。主回路閉鎖、弐号機の全制御をエントリープラグからMAGIへ強制移行」
 伊吹「駄目です、信号拒絶! 直結経路、応答しません!」
 青葉「弐号機の制御プログラムの一部が、プラグ側から書き換えられています! くそ、いつのまに」
 冬月「すぐに射出機構の主導権を取り戻せ。上に出たらもう止められんぞ」
 日向「弐号機、格納廠の自機周辺システムを制圧中! こちらからの命令を逸らされています!」

44 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:16:24 ID:???
   碇「…零号機を緊急起動。レイ、弐号機を止めろ」
 青葉「零号機主管制、未だ外部経路を含めてロックされています! 解除まで4秒!」
画面を振り仰ぐリツコ
  リツコ「間に合わないか…!」
呆然と見上げる人々
弐号機射出の震動がかすかに発令所に響く
司令階で拳を握りしめ立ち上がっている碇
 伊吹「弐号機、61番射出口より第三新東京市表層へ。最終安全装置、解除。弐号機、リフトオフ」
 青葉「弐号機、目標の予想策敵範囲に入ります。目標は移動を停止。空洞内で座標固定」
 冬月「…気づかれたか」
ぴくりと視線を上げる碇
 伊吹「…零号機、主管制回復。システム再起動完了まで12秒」
 日向「弐号機、ポジトロンライフル装備」
 青葉「銃身への充電および陽電子充填は、すでに完了しています…が」
振り返る日向、青葉、伊吹
無言のミサト
 日向「…葛城さん!」
中央画面には狙撃体勢に入りつつある弐号機 見据えているミサト
  .ミサト「構わないわ。やらせて」
厳しい面持ちで念を押すリツコ
  リツコ「ここで駄目なようなら、アスカの努力もしょせんそこまでということね」
 伊吹「実地試験、ですか」
 青葉「…ラストチャンスかもな」
押し黙っている碇

45 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:17:21 ID:???
実射シークエンスに入る弐号機
補整スコープを通して探査体からの同時映像を見据えるアスカ
オペレータらからの最終状況伝達 視野左隅で進行するカウントダウン
突然、まばゆい光が視界を包む
 アスカ「?!」
上方からの光の束が弐号機に降り注いでいる
 アスカ「なに…これ…?!」
警報 意識野に直接侵入してくる未知の情報索
短く悲鳴をあげて頭を押さえるアスカ

発令所に鳴り響く警報
 伊吹「弐号機の外周システムに、正体不明のデータ侵入!」
  .ミサト「…ハッキング?! あの光は敵の指向性兵器なの?!」
 青葉「いえ、ATフィールドに酷似した、可視波長に近い強力なエネルギー波です!」
 日向「不明データ、エヴァとプラグの防御システムを貫通してパイロットの物理脳に浸透!
     エネルギー束の流動はデータ流の動向に99.98%一致! 不規則に波長が変化しています!」
 伊吹「パイロットの心理グラフ、乱れています。個体知覚帯域に異常発生!」
  リツコ「…なんてこと。
     アスカの情報構造を、直接探っているんだわ。使徒が」
アスカの悲鳴が発令所に響く
狙撃設定不完全のままライフルを発射する弐号機
上方の都市構造物を熔貫して飛び去る陽電子弾 大きく使徒を逸れ、下方の空洞対壁に着弾する
主画面に攻撃失敗の表示が明滅する
  .ミサト「…やむを得ないわ。作戦中止、ただちに弐号機を回収」
 青葉「駄目です、弐号機、管制信号に応答しません!」
めちゃくちゃにライフルを盲撃ちする弐号機 第三新東京市の各所に火柱があがる
残弾がなくなってもトリガーを空引きし続ける弐号機の手 取り落とされるライフル
光の中でもがく弐号機

46 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:18:39 ID:???
操縦席 ひたすら身を縮め声を殺しているアスカ
沈黙した弐号機の防衛システム 侵されていく外部身体知覚 異物感の耐え難い増大
  ミサト『優先制御回線による遠隔操作は?!』
 青葉『こちらからの直接命令は、目標により全て逸らされています!』
 伊吹『心理グラフ、シグナルダウン。パイロットが危険です!』
  ミサト『く…アスカ、聞こえる?! すぐに撤退して! …一番近い回収ルートは?!』
 日向『61番回収口です! 経路転送!』
肩を震わせるアスカ
 アスカ「…イヤよ!」
  ミサト『アスカ?!』
顔を伏せたまま、激しく首を振るアスカ
 アスカ「イヤ! 敵を前にして逃げ帰るなんて、死んでも御免よ!」
背をのけぞらせ、天を仰いで痙攣する弐号機
頭部装甲が開いて眼窩の奥から四つの目が現れ、やがて力なくまたたいて消える
荘厳な光の幕の中で凍りつく弐号機

47 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:20:17 ID:???
  .ミサト「…アスカッ!!」
 青葉「弐号機、活動停止! 全情報構造が活性喪失! 完全な受動状態に陥っています!」
 日向「目標エネルギー束、波長固定! さらに出力が上がります!」
 伊吹「敵データ、パイロットの個体システムに到達! …情報汚染が始まります!」
発令所主画面に初号機の通信画面が開く
何かを押し殺した表情の霧亥
 霧亥『弐号機を回収する。今すぐ初号機の凍結を解除しろ』
相前後して最上階の碇を振り仰ぐ人々
   碇「駄目だ。初号機を汚染される危険を冒すことはできない」
 霧亥『汚染される前に終わらせる』
   碇「その保証はない」
黙り込む霧亥 きっと碇を見上げるミサト
  .ミサト「…では、重力子放射線による目標の直接攻撃の許可を申請します」
  リツコ「使徒を、じかに狙撃させるつもり?!」
 日向「しかし、過去のデータから判断すれば、あの銃の出力なら目標を充分に撃破可能です!」
日向のコンソールから映示される試算像
揃って階上を仰ぐ人々
   碇「許可できない。今作戦において、目標に対する重力子放射線射出装置の使用は全て禁止する」
  .ミサト「司令…!」
 冬月「…目標の位置が、超構造体に近すぎるか」
ざわめく発令所 一人信じられない面持ちで通信画面の霧亥を見上げるミサト
何も言わずに通信が切られる

48 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:26:57 ID:???
よそのスレに誤爆 なんてことだ… orz

光輝に晒されたエントリープラグ
きつく自分の身体を抱きしめているアスカ
   声(自ら被験者に志願した結果が、このありさまか。こうまでして研究を完成させたいかね)
   声(人格の恒久的破損。接触痕で物理脳は損傷、接続施設で保存していた実験時の継時個体ログも壊滅)
   声(なぜバックアップから個性を復元しない? この状態なら新規身体作成申請も通るはずだ)
   声(本人の意志だよ。接触の結果に拘らず復元不要との要望が、実験前に正式に審議受理されている)
   声(当人にすれば、これも本望か。だが、そんな要望が出されてたと知った家族はどうなる)
 .アスカ「違うわ。あれはもうママじゃない」
   声(人格崩壊の果てに自殺した母親の遺体を、最初に見つけたのがあの子だそうだ)
   声(よく我慢したのね、アスカちゃん。もう泣いてもいいのよ)
 .アスカ「違うわ。私はもう泣かないって決めたの」
   声(医師である前に、私も一人の人間、女ですわ)
   声(どうしたんだ、アスカ。新しいママからのプレゼントだ。気に入らなかったのかな)
 .アスカ「違うわ。私はもう子供じゃない。何も知らないとでも思ってるの」
   声(話に聞いてた以上だな、アスカは。俺のことだってすぐに追い抜くさ)
 .アスカ「違う、ちゃんと私を見て、加持さん!」
   声(せやけど、お前さっきからずっと上見とるやないか)
 .アスカ「違う、私はここで生きてくしかないの。だから逃げられない、誰にも頼れないの!」
   声(…あんた、この階層の外から来たんでしょ。ここなんかおよびもつかない広い場所で、
     私たちには想像もできない経験しながら生きてきたんでしょ)
食いしばった歯の間から呻き声を洩らすアスカ 下腹部を掴む手
 .アスカ「違う! 『外』なんてない、行けっこないのよ! だからそんなものいらない!
     私は子供なんて産まない、パパもママもいらない、誰もいらない! 何もいらない!
     私は一人でこの私になったの! 私は私よ! 一人だけで生きていけるわ!」
   声(……だから私を見て!)
 .アスカ「…え?」
目を見開くアスカ

49 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:30:20 ID:???
短い黙考ののち顔を上げる碇
   碇「…時間がない。レイ、ドグマに降りて槍を使え」
司令階の上下でそれぞれ愕然と顔を上げるミサトと冬月
  .ミサト「目標健在の状況下で全隔壁を開放し、零号機を、じかにターミナルドグマへ…?!
     碇司令、危険です。中止してください」
 冬月「委員会の許可もなしに、ロンギヌスの槍を使う気か?! 考え直せ、碇」
答えない碇
  .ミサト「…碇司令! エヴァとアダムの接触は、サードインパクトを誘発する危険があります。
     やめてください」
 冬月「今はまずい。ゼーレが動き出す前に、全て済ませられるとでも思っているのか」
無表情に二人を一瞥する碇
   碇「問題はない。全て初めから承認済みだ」
言葉を失い碇を凝視するミサトと冬月

ターミナルドグマ区画CL3 LCL製造施設
膝近くまでLCLの湖面に浸かり、磔刑の巨人の前に進む零号機
白い無特徴な胴部に突き立った槍を掴み、全身で引き抜く
槍が外れた途端白い巨体が大きく痙攣する
胴部末端が爆発的に成長し、数秒で形成された両脚がLCL液面に達して水柱をあげる
無感動に槍を引く零号機

50 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:32:05 ID:???

    (惣流・アスカ・ラングレーです。よろしく!)
    (あんた馬鹿ぁ?!)(…チャ〜ンス)
    (だから私を見て!)
 .アスカ「……何…これ…?」
    (あんたなんかと、キスしたからよ!)(…先に帰るわよ、馬ぁ鹿!)
    (どうして男の子って、ああ馬鹿でスケベなのかしら!)
    (私はもう充分に大人よ。…大人よッ!)
 .アスカ「私…?…じゃ、ない…! …私の記憶じゃない!」
    (…ミサトもイヤ。ファーストはもっとイヤ。
     パパもイヤ。ママもイヤ。でも自分が一番イヤ…! もぉイヤッ! 我慢できない!)
    (なんでこの私が! 私がぁっ!!)
 .アスカ「外部…入力? 既知の…階層内の再建ハードウェアからじゃないなら、…使徒?!
     なんで、使徒が人の個体情報記録なんか持ってるのよ?!」
    (…私ね、勝てなかったんだ。エヴァで)
    (のこのことまたこれに乗ってる。未練がましいったらありゃしない)
 .アスカ「違うわ! やめてよ、勝手に同定しないで! これは私じゃないわ!」
    (シンクロ率、ゼロ。セカンドチルドレンたる資格なし)
    (もう私がいる理由もないわ。誰も私を見てくれないもの)
 .アスカ「違う! 私じゃない! 私は…この誰かじゃない!!」
光に覆いつくされた操縦席
弐号機との接続相は完全に消失し、外部からの通信は全て途絶している
怒りと屈辱に震えるアスカの両肩
 .アスカ「……汚された。…汚された、私のログが。
     …加持さん、どうしよう。…汚されちゃったよ」

51 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:33:23 ID:???
異様な槍を手に第三新東京市表層部へ上がってくる零号機
  ミサト(…ロンギヌスの槍)
再閉鎖されたターミナルドグマの表示を見つめているミサト 異常らしき徴候は認められない
  ミサト(…嘘。欺瞞なのね。
    使徒と同じ力を持つはずのエヴァ。そのエヴァに、地下のアダムは反応しなかった。
    この程度では、サードインパクトは起きないということなの)
配置につく零号機を眺めている碇と冬月
 青葉「零号機、投擲位置」
 日向「目標座標は変化せず」
 伊吹「槍の全安全装置解除。問題なし」
槍を上段に構える零号機
槍身全体が形状変化し、白い光の靄をまとう巨大な刃になる
大きく助走をつけ全身で槍を投げる零号機
轟風 一瞬で都市の胸壁が消滅し、数kmに渡って消却された都市構造体を抜けて飛び去る槍

52 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:34:23 ID:???

まばゆい操縦席に小さく身体を丸めているアスカ
 .アスカ「…ここは、イヤ」
プラグに横溢している光
 .アスカ「…もう、ここにいるのは、イヤ」
変化しない光
 .アスカ「…どうして、ここにいるの、わたし」
音もなく降る光
 .アスカ「……ここから、出たい。
     …出たい。出たい、出たいの! 出して! 出してよぉッ!!」
光の中で凍りつくアスカ
その目/脳裏に映る風景
理解とともに圧倒的な絶望に覆われるアスカの両目

闇の空洞に浮かぶ使徒をATフィールドごと貫く槍
射線上に沿って巨大な衝撃波が空洞対壁を直撃し、密集した建造物の層が吹き飛ぶ
痕跡も残さず消滅する使徒
さらに数十km先まで飛び続け、露出した超構造体にぶつかって速度を失う槍
すでに白い光はなく、元の形状に戻りつつ暗い廃棄領域深部に落下する

53 :log.22 せめて、人間らしく:2006/10/05(木) 13:35:22 ID:???
槍の貫通跡に沿って直線状に大破した第三新東京市上方都市構造体 小さく建設者群が見える
回収される弐号機
兵装塔の屋上で作業を眺めているアスカ 膝を抱えた彼女の後方に引かれた規制線
線の手前で立ち止まっている霧亥
 .アスカ「…何よ、今頃のこのこと。何もしなかったくせに」
無言で立っている霧亥
膝を抱く両腕に力をこめるアスカ
 .アスカ「あんたなら、まだマシだったわよ。
     あの女に…あんな女に助けられるなんて。それならあのまま死んでた方が良かったわよ」
答えない霧亥
 .アスカ「…死んでた方が、ずっと良かったわ」
正面を下降していく弐号機の巨大な頭部
 .アスカ「最後に、使徒の視覚を通して、見えたのよ。…この階層の、外の景色」
きつく自分を抱きしめるアスカ
 .アスカ「…ここと同じ。同じような都市空間が、どこまでも果てしなく続いてるだけ。
    他に生きてる人間なんていないし、都市が広すぎて、一生かけてもどこにもたどり着けない。
    …馬鹿みたい。何もないなら、外に出る意味なんてないわ」
力なく笑うアスカ
 .アスカ「…あんた、なんで旅なんかしてるの?」
アスカの背中を見ている霧亥
口を開く
 霧亥「ネット端末遺伝子を探している」
顔を上げるアスカ
弐号機回収が終わり、都市開口部が閉じる音が響く
ふいにうつむくアスカ
 .アスカ「…信じない」


log.22 終

54 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/10(火) 10:56:37 ID:???
hoshu?

55 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/13(金) 00:06:01 ID:???
ともかく使徒なんかより
セーフガードの皆さんのほうが強いってことは分かった

56 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/13(金) 11:21:48 ID:???
>>55
物量戦か?使徒に豆粒みたいな駆除系が群がって
ちくちくやってるとこ想像しちまったじゃねーかwww
まあ重力(ry)装置持ってる奴はサイズ関係なく圧勝だろうな
ドモイコなら二世紀くらいかけて地道に殲滅

57 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/19(木) 12:45:39 ID:???
tudukuno?

58 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/25(水) 12:15:36 ID:???
uwaaan

59 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/10/29(日) 14:34:47 ID:???
保守?

60 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/11/02(木) 17:19:18 ID:???
しるかよ

61 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/11/09(木) 11:01:34 ID:???
hoshu?

62 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/11/14(火) 12:02:08 ID:???
hosuh

63 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/11/17(金) 00:25:40 ID:???
ほっしゅっしゅ

64 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/11/18(土) 20:15:15 ID:???
保守?

65 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/11/19(日) 22:06:20 ID:???
age

66 :log.23 涙:2006/11/21(火) 11:32:57 ID:???

 『…参ったな。
  つまりは俺に、自分の口で言えってことか。いや、何ともまぁ、彼らしいのかな』
第三新東京市の外観 超構造体半内部空洞開口部に蓋をする形で建造された人工都市
入り組んだ市構造体を取り巻く巨大な環状線
区画周壁に張り巡らされた人造軌道群は槍の破壊痕で広範囲に渡って分断されている
層をなす天蓋都市の周基部に停車しているアルピーヌ・ルノー改
 『葛城が泣く。そう言われたそうだ』
車体を覆う都市の影 車載警戒装置の表示は走査範囲に不審動体はないことを示している
疎開が進み、ほとんど無人となった周辺居住区
遙か上方で進行中の槍貫通孔修覆作業
 『委員会との手打ちは、碇司令自身が行った。そういうことだ。
  俺が今もいられる理由はそれ以外ないさ』
 『けど、その後はどうするの。どこへ行こうとしているの、…碇司令と、霧亥君は』
 『さてね。碇司令も、この行動の結果までは予測できないんだそうだ』
 『…闇の中へ、か』
 『そうだ』
ステアリングにもたれて自分の記憶を聞くミサト
シフトレバーの脇に目を移す
万一加持が連絡してきた場合に備えて厳重に盗聴防止措置を施されたカーフォン
一度も使用されていないそれに、しばし視線を預けるミサト
  .ミサト「…鳴らない電話、か」
無人の路肩を離れて走り去る車

67 :log.23 涙:2006/11/21(火) 11:37:09 ID:???
ネルフ本部内中央作戦室
照明を落とした室内正面に投影された古い建造物の累層
広範囲にわたって剥離し亀裂の走った集合壁
中央に何かが高速で貫通した孔が認められる
未踏査の風景を眺める人々
 青葉「ロンギヌスの槍は現在、第19無人区深部にて埋没状態にあります。
     既知階層地図によれば、当該地点は居住可能圏から最も遠い領域にあり、現時点では
     有人踏査はもちろん、探査体の投査すら行われていない未測区域です」
 冬月「あの辺りは建造物の空間占有率がほぼ100%に達していた区画だったからな。
     都市構造体としての成長も、我々の可測範囲においては十五世代前から停止している。最小の
     探査体でさえ進入は困難な上、推測される再利用資源含有率も低い。都市連階層探査局の
     形骸的な定期観測以外、何の調査も行われておらんというのが現状だよ」
光学映像横に表示される透撮図
構造体内に槍の影が不鮮明に写っている
  .ミサト「構造体に800m以上貫入…ってことは、槍本体の長さよりも深く刺さってるわけか」
  リツコ「超構造体との激突、さらに槍自体の落下エネルギーも加わってるもの。ろくな構造解析図も
     ない区画じゃ、掘削計画の立てようがないわね。現状で、その予算が通ればの話だけど」
 日向「現在、遠隔探査体の一部が周辺調査を開始していますが、作業の見通しは立っていません。
     たとえ引き揚げに成功したとしても、あの大質量をここまで輸送する手段は今のところ
     存在しませんからね」
 冬月「…回収は事実上不可能、だな。弐号機の方はどうかね?」
 伊吹「機能中枢の情報汚染の可能性も考慮し、全構造の精査を行いましたが、問題ありません。
     機体そのものは、すぐにも実戦投入できます」
  .ミサト「…ただ?」
像示される弐号機の情報総覧
  リツコ「前回の襲来以降行われた各種テストにおいて、アスカの数値は緩やかに下降を続けてるわ。
     無理してまで食い下がる意志も、今はないようね」

68 :log.23 涙:2006/11/21(火) 11:39:30 ID:???
 伊吹「最新の結果では、弐号機とのシンクロ率、ハーモニクスともにレイの零号機を下回っています。
     訓練シミュレーションでも、小さなミスが目立ってきてます」
無言の一同を瞥見して口を開く冬月
 冬月「実戦には、耐えるんだな」
  リツコ「はい」
ミサトを見るリツコ
両肘を抱いて黙しているミサト
 冬月「初号機の凍結解除命令は未だ出ていない。…となると」
  リツコ「当面はレイが頼り、ですか」

壱中放課後
世にも不景気な顔で掃除当番中のトウジとケンスケ
.ケンスケ「…世の中の理不尽ってやつを感じるね」
 トウジ「まあ、疎開やら、避難やらで人数減った分、ワシらの当番が増えるのはしゃあない。
    それはしゃあないで。…せやけど、なんであいつらまで一緒におるんや」
嫌そうに教室の反対隅を見やるトウジ
黙然と掃除しているアスカとヒカリ
と、ヒカリが急に顔を上げて硬い表情で向かってくる
速攻で作業に戻る二人
 .ヒカリ「…二人とも、ちゃんと掃除、してよね。私たちまで遅くなるんだから」
あらぬ方を向くトウジとケンスケ
.ケンスケ「わかってるって。もうすぐ終わるんだから、わざわざ注意しに来なくても」
 トウジ「委員長もご苦労さんやな。当番でもないのに、惣流の奴に付き合うて居残りか」
 .ヒカリ「…、私は委員長なんだから、最後の確認しないと帰れないのよ。どうせ残るなら、
     みんなで掃除した方が、早く終わるでしょ」
.ケンスケ「ま、そりゃ道理だ。…さてと、あとはゴミ捨てて終わり、っと」
ん、と顔を上げるケンスケ

69 :log.23 涙:2006/11/21(火) 11:42:15 ID:???
まだそこに立っているヒカリ
顔を見合わせるトウジとケンスケ
 トウジ「…どないしたんや、委員長」
少し迷ってから口を開くヒカリ
  ヒカリ「鈴原たち…碇君のこと、何か聞いてない?」
.ケンスケ「…霧亥の?」
何となく話の先を察するケンスケ
腕組みして唸るトウジ ポーズの割に表情は素のまま
 トウジ「そう言えば、もう長いこと顔見とらんな。なんや、ワシらまで慣れっこになってもうたか」
.ケンスケ「こないだまた使徒が来て…その前からだよな。惣流なら、本部で顔合わせてるだろ。
     俺たちなんかに聞くまでもないんじゃないの」
  ヒカリ「それはそうだけど…」
 トウジ「おらんと言えば、綾波もやな。いまだに学校来る余裕あるのは惣流だけや言うことか。
     ああ、ミサトさんともずーっとお会いしてへん…くう、こうなると惣流がうらやましいわ」
.ケンスケ「肝心の霧亥が登校してこないんじゃ、帰りに家に押しかけるってのもできないもんなぁ」
  ヒカリ「それならまだいいんだけど…」
揃ってヒカリを見る二人
.ケンスケ「…って、まさかどっちも帰ってないって言うのか?」
優等生らしく控えめに顔をしかめて頷くヒカリ
一瞬黙り込むトウジとケンスケ
  ヒカリ「ミサトさんは仕方ないと思うけど、碇君は関係ないでしょ。ちょっとひどいと思わない?」

70 :log.23 涙:2006/11/21(火) 11:43:22 ID:???
 トウジ「いや…何言うとんのや、霧亥の奴もれっきとした初号機パイロットやないか」
.ケンスケ「あ、ああ、そうだよ。凍結命令解除に備えて、いろいろ訓練とかで忙しいんだろ、きっと」
  ヒカリ「だからって、おかしいわよ。パイロットの仕事や、テストには出てるらしいんだけど…
     学校へも来ず、家にも帰らず、毎日どこにいるかもわからないなんて」
沈黙する二人
.ケンスケ「…そういや、あいつってこの街を探りに来たらしいって噂、前に聞いた」
 トウジ「んなアホな話あるかい。そら何か、あいつがあんな物騒な武器持っとるから…か」
言葉が続かない二人 不安げに見比べるヒカリ
 .アスカ「ヒカリ?」
はっとして振り返る三人
いつのまにか鞄を手に背を向けているアスカ
  ヒカリ「な、何?」
 .アスカ「そろそろ帰ろっか?」
  ヒカリ「うん…」
顔を向けずに出ていくアスカ 何か言いたげな眼差を残し、追いかけるヒカリ
静まり返る教室 学習用端末の取り払われた机が目立つ
複雑な顔を窓の方に向けるトウジ
.ケンスケ「…今や、お定まりの日常どころじゃないってことか」

71 :log.23 涙:2006/11/21(火) 11:47:54 ID:???
発令所管制階
技術局による三主電脳及び周辺下位電脳網の第十三次機能拡張作業を終えたMAGIシステム
主管制席に残っているオペレータ三人とリツコ
 伊吹「何とか本調整に間に合いましたね」
  リツコ「そうね。みんなにもずいぶん無理をさせたけど、まずはこれで一段落だわ」
 青葉「ま、これも、仕事っすから」
 日向「みんなわかってますよ」
微笑むリツコ
コーヒーメーカーの周りに椅子引いて集まっている一同
 日向「ところで、この増設はやはり、使徒のMAGIへの直接侵攻を想定しての処置なんですか」
  リツコ「…みんなの間ではそういう話になってるのかしらね」
 伊吹「いえ、別に噂という訳では、ないんですけど…」
 青葉「先の件がありますからね。みんな気になってるんでしょう。前回の弐号機侵食、あれで
     嫌でも思い出させられたってとこかもしれませんね」
三人の顔を一瞥してもう一度微笑するリツコ
  リツコ「基本的には市の建設整備計画本体を補うものよ。ただ、ここはそもそも使徒襲来を前提に
     建設された街だから、みんなの見方もあながち外れているとは言えないわね」
 伊吹「使徒襲来で、整備計画もずっと変更続きですもんね。市の管理運営もMAGIに任せきりですし」
  リツコ「あら、三つの主電脳による合議制よ。ちゃんと民主主義にも則ってるわ」
コーヒーのお替わりを注ぐ日向 同じく乗り出した上体を戻す青葉
寛いだ表情になるリツコ
 日向「変更と言えば、堆積層の第三次調査計画、ずっと無期限中止のままだったなぁ」
 青葉「仕方ないさ。緊縮財政で予算と資源を確保しても、結局使徒襲来のたびにこっちで
     ほとんどもらっちまう。疎開続きで、人手も減る一方だ」
  リツコ「まだ回してもらえるだけ感謝すべきね。最近じゃ都市連本体も渋い顔してるらしいわよ」
 青葉「使徒はここにしか来てませんからね。危機感薄れてきてるんじゃないっすか、よそは」
 伊吹「…なんだか、やりきれませんね」
 日向「おまけにウチが悪者扱いされるんじゃ、ちょっとやってられないっすよ」
  リツコ「副司令が苦労するわけだわ。…でもだからこそ、やれることは今のうちに済ませないとね」
格納状態の三電脳を見つめるリツコ

72 :log.23 涙:2006/11/21(火) 11:50:22 ID:???
 アスカ「…帰ってたの」
ミサト宅ダイニング
コーヒー片手に顔を上げるミサト 真顔
  ミサト「お帰りなさい」
きっとなるアスカ
 アスカ「ただ、い、ま。…あいつは?」
  ミサト「あいつ?」
 アスカ「キリイよ、キリイ。他にいないでしょ!」
テーブルに歩み寄り、やや勢いよく鞄を下ろすアスカ ミサトの肘の傍で車のキーが鳴る
危うく倒れかけた醤油入れに無言で目をやるミサト
 アスカ「外でそれらしいの見かけたのよ。確かめようとしたけど、見失っちゃって。
    ねえ、いたんでしょ? やっと顔出したってのに、どうしてすぐ出て行かせるのよ!」
カップを置くミサト
  ミサト「必要なものを取りに寄っただけだったわ。…引き止めた方がよかった?」
険しい顔になるアスカ
 アスカ「別に。…けど、今まで黙って家空けてたんだから、共同生活者に何か一言あって然るべきよ。
    だいたいミサト、保護者なんでしょ。心配してたんじゃないの?」
大ざっぱに片付いたリビングに視線を向けるミサト
クッション二つを占領していつもの角度で寝転がっているペンペン
  ミサト「…保護者なんて偉そうなことは言えないわ。
    帰りたくなれば、いつだって帰ってくるわよ。彼だってそのくらいの自覚は持ってるわ」
 アスカ「あいつにそんな常識がないことくらい知ってるでしょ! 絶対、帰るって単語の意味すら…」
言いさして、何か思い出したようにきつく顔をしかめるアスカ
ゆっくりコーヒーを飲み干すミサト
  ミサト「明日は定例のハーモニクス試験があるじゃない。言いたいことがあるなら、そのときにでも
    言えばいいわ。彼、パイロットの任務は欠かさず出てるんだし」
 アスカ「…そういう問題じゃないわよ」
頑なな表情になるアスカ
ちょっと息をためるミサト ふいに立ち上がる
  ミサト「アスカ、夕飯まだよね? 久しぶりに何か食べに行きましょ。二人っきりで」
不可解そうに見つめ返すアスカ

73 :log.23 涙:2006/11/21(火) 11:52:29 ID:???
夕刻も遅い街を走るアルピーヌ・ルノー改
居心地悪げに助手席におさまっているアスカ
  ミサト「…信用できない展開だって思ってる?」
 アスカ「まあね。ミサトがご飯奢ってくれるなんて、どういう風の吹き回しよ」
  ミサト「ここんとこ帰ってない埋め合わせとでも思ってくれればいいわ。…この後も、また出るし」
素早くミサトを振り返るアスカ
運転するミサトの横顔 拗ねたような顔になって座席にもたれるアスカ
 アスカ「…残業?」
  ミサト「そんなとこよ」
沈黙
なにげなく視線を向け、アスカの真剣な目に捉えられるミサト
 アスカ「…本当に仕事なの、それ」
信号で停止する車 交差路を流れる他車のライト
アスカの怖いような凝視をわずかに外して受け止めるミサト
  ミサト「…ネルフの公務では、ないわ。
    ただ、信じてもらえないかもしれないけど、加持に逃げたりはしていないから」
唇を噛むアスカ 息を吐く
 アスカ「自分のお父さんに誓える?」
  ミサト「…誓うわ」
黙って前方を向くアスカ
信号が変わり、滑り出すアルピーヌ・ルノー 両脇を流れ出す都市照明の列
  ミサト「…さぁって、今はとにかく、食事にしましょ。外食なんてひっさしぶりだもの、奮発するわよ。
    この際何でも好きなもの奢ったげるわ」
 アスカ「何でも?」
  ミサト「そ、何でも。任せて」
 アスカ「ホントに?」
  ミサト「ほんとよ。懐具合は心配しなくていいから…どしたの?」
小さく笑っているアスカ
ミサトにからかうような笑い顔を向ける
 アスカ「…何よ。こんなことなら、やっぱりキリイ、引き止めとけば良かったんじゃない」

74 :log.23 涙:2006/11/21(火) 11:55:31 ID:???
第三新東京市外 外周廃区
住人の去った最初期居住区の外に立つ碇、霧亥、加持
使用されなくなり荒廃した旧型人造設備群が散在している
破れた配管類 錆屑の層
廃墟となった集合住宅の向こうに見える第三新東京市の半減した輝き
 加持「既に、階層内既知居住圏の主な都市連結体は、各個に密閉型シェルターの建造に着手してます。
     一応極秘裏ということになってるみたいですが、事実上都市連当局の黙認つきです。最近ウチへの
     予算関係の突き上げが再燃してるのは、これのせいでしょう。何しろ金がかかりますからね」
   碇「今からでは間に合うまい」
 加持「彼らも薄々それには勘づいてます。だからこそ必死になってるんですよ。それで焦るあまり、
     もっと直接的な方法も検討されてるようです」
   碇「使徒の目標たるここの、居住区画も含めた物理閉鎖か」
 加持「超構造体内部空洞と堆積層への影響を恐れて、消却処理までは考慮されてないようですがね」
   碇「時間の問題だ。第七浮甲艦隊は今も新横須賀から距離一時間の座標にとどまっている」
 加持「国内もキナ臭くなってます。数日中にも、JSSDF一部部隊の緊急配置転換の線が濃厚です」
   碇「…攻めるべきは我々ではない。そして外部侵攻が始まれば、どのみち防げはしない」
碇を見る霧亥
彫像のような無表情を街に向けている碇
暗い都市構造体を仰ぐ加持
 加持「始まってしまえば我々は生き残れない。だが使徒は倒さなければならない。
     我々にできる唯一の方法は、システムが終局に達する前にその進行を食い止めること、
     そのための方法を模索することだ。…あの委員会のシナリオとは違いますが」
振り返り霧亥を見る碇
塵埃を巻き上げる風
渦巻く靄の遙か上方を横切っていく都市連軍機動巡回部隊 旧居住区にこだまする高軌道走行音
廃景 街を遠望する三人

75 :log.23 涙:2006/11/21(火) 11:58:05 ID:???
振り返るレイ
斜めやや上から睨みつけるアスカの顔
 アスカ「だから、あんたはちゃんと自分ちに戻ってんのかって、訊いてるの」
顔を戻すレイ
  レイ「…そんなこと聞いてどうするの」
セントラルドグマを抜ける長い下降走路
走路の段二つ分上に立ってレイを見下ろしているアスカ
両手で鞄を提げて佇んでいるレイ
 アスカ「別に、知りたくなっただけよ。で、どうなのよ。それとも他の連中みたいに、本部に連泊?
    …ま、そうよね。今やここの実働戦力ナンバー1はあんただもの」
  レイ「…弐号機は動くわ」
大振りな動作で横を向くアスカ
 アスカ「まだ、ね。でも肝心のパイロットにこうもやる気がないんじゃ、しょせんは脇役よ。
    …あーあ、クヤしいけど、あんたの言った通りね。あたしはエヴァをわかれそうにないわ。
    下手したらそのうち弐号機を下ろされるんじゃないの、ってね」
  レイ「それはないと思うわ」
 アスカ「あんたね、…ヒカリじゃないんだから、慰めようとしなくたっていいわよ。
    …なんか、もういいもの。望むものなんて、前ほどわかんなくなってきたもの」
  レイ「望むもの?」
 アスカ「そ。…あたしの、弐号機にも」
視線だけちょっと戻し、気づいて顔を向け直すアスカ
半身を返してアスカを見上げているレイ
  レイ「『外』に何があると思ってたの」
瞬時に感情の甦るアスカの顔
数秒の凝視のあと、ふいに構えの抜けた顔で笑う
 アスカ「…そんなこと訊いてるようじゃ、わかんないわよ。一生ね」
珍しく表情を出してとまどうレイ 目を伏せる
  レイ「そうかもしれない」
見つめるアスカ
直後、施設内に鳴り響く戦闘警報

76 :log.23 涙:2006/11/21(火) 11:59:36 ID:???
避難命令下、無人となった街並を疾走するアルピーヌ・ルノー改
カーフォン片手に荒っぽい運転を続けるミサト
  ミサト「そう、レイとアスカを市蓋上に上げて、二機で迎撃に当たらせて。
    …わかってるけど、私じゃ初号機の凍結命令は解除できないわよ。じゃ」
ふと窓の外に視線を奪われるミサト
構造体の彼方から迫りくる巨大な光輪
ミサトの顔が引き締まる
  ミサト「…目標を肉眼で確認、か」

第一種戦闘配置の発令所
駆け込むミサト
振り返るリツコ以下主スタッフら 司令階には碇と冬月の姿
  リツコ「遅いわよ、何やってたの!」
  .ミサト「ごめん! 状況は!」
主画面に映し出された光の二重螺旋環 ごく低速で自転している
戦闘形態の市蓋部に地対空装備で配置された零号機と弐号機
緩慢に市郊外を漂空する輪
 青葉「22分前に、強羅絶対防衛線付近に出現。以後、速度不定で移動を続けています」
 日向「現在までのところ、各通常兵器による攻撃は効果なし。しかし、ATフィールドの展開は
     認められません。パターンは青からオレンジへ、周期的に変化しています」
 伊吹「エヴァ零号機、および弐号機、ともに目標視認済みです。膠着状態が続いています」
  .ミサト「…向こうは手出ししてこないつもりなの?」
  リツコ「MAGIは解析材料の不足を提示してるわ。現状でこれ以上の進展は望めそうにないわね」
  .ミサト「こちらから仕掛けて出方を見るか…レイ?」
唐突にレイの通信音声
  .レイ『いえ、来るわ』

77 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:00:43 ID:???
集束する二重螺旋構造
輪が途切れ、長大な光条となって一直線に零号機へ走る
彼方で向き直る弐号機
 アスカ『ファーストッ!』
  レイ「…!」
寸前に展開される零号機のATフィールド
瞬時に貫通し機体胴部に突き立つ光尖
潜り込んだ先が複数に枝分かれし装甲もろとも物理侵食していく
警告音
短く息を吐いて操縦席で上体を浮かすレイ
機体と同じ箇所から身体に広がっていく黒く沸き立つ異組織
白い顔にかすかな色をのぼらせるレイ

78 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:03:42 ID:???
  ミサト『レイッ! 応戦して! アスカ、急行して援護!』
機能も建造意図も忘れられた古代構造塊の起伏
電纜を長くしなわせて平盤を走り抜ける弐号機
 アスカ「…何やってんの、あの子!」
床素材を蹴散らして到着する弐号機
銃を構え宙の光条を速射する 全弾中半数ほどが揺らめく光の紐を直撃する
続いて自らも光条を掴み銃口を押しつけて接射する零号機
いずれも効果は認められない
使徒を掴んだ手の接触面から新たに侵食が始まる
上体を崩される零号機 落下する銃
拡大する侵食部位
弐号機の銃撃は光条表面で威力相殺され宙に散る
 アスカ「このッ、なんで効かないわけ?! ファースト、状況は!」
乱交錯する広域電磁波帯に耳を澄ますアスカ 零号機からの明確な応答はない
かすかに伝わる異常の匂いに悪寒を覚えるアスカ
 アスカ「…ファースト! 答えなさいよ!」
食い入ってくる光体を掴み床面に押さえつけられていく零号機
弐号機は銃撃を続けるが埒が明かない
 アスカ「こうなったら、直接あれを掴んで引っ張り出すしか…」
  碇『弐号機』
弾かれたように顔を上げるアスカ
 アスカ「…司令…?!」
  碇『近接戦闘は避けろ。目標はエヴァへの一次的接触を求めている。弐号機を汚染されるな』
 アスカ「りょ、了解…って言ったって、こんなの、どうしろって言うのよ…
    …?!」
零号機に突き立った光条の別端が突如動きを変え、弐号機に迫る
俊敏に跳びのく弐号機
構造突出部を破砕して一直線に過ぎる光条 すぐに回頭して再度弐号機を狙う
応戦しながらも徐々に後退を余儀なくされる弐号機
観測事象から懸命に目標の情報を読み取ろうとするアスカ
 アスカ「…あの光…この前の使徒と似てる、…なら、ファーストは」

79 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:04:45 ID:???
操縦桿に乗ったレイの両手
反らされた身体
侵食点から全身に拡大していく沸騰する硬組織
覆われた部分は元の形質を失い黒く緻密な流体胞の集積と化している
変容の中に漸現する黒の鏡面素材 超硬外殻端 伝導機構 黒い矩形 再構築骨格 内部機関芽
逃れるように強く仰向いたレイの顔 首筋まで達している索端
薄くまぶたが開きかける
覗いた眼球は既に半ば人間のものではない
きつく目を閉じるレイ

/
 :誰?
/
 (知覚)
 :使徒 わたしたちが使徒と呼んでいるヒト
 (評価修正)(既得情報再構整)
 (認識)
/


80 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:07:23 ID:???
/
:その人は助けてくれないわ
 :どうしてそう思うの
:助けても嬉しくないもの 助からない方が嬉しいもの
 :だから弐号機を攻撃してるの
:そうよ
:あなたはわかるでしょ この気持ち
 (知覚)
:感じるでしょ? 心がイタイでしょう?
 :イタイ…いえ、…サビシイ、そう、寂しいのね
:サビシイ? わからないわ
 :一人が厭なんでしょ わたしたちはたくさんいるのに、自分一人でいるのが厭なんでしょ
 :それを寂しい、というの
:それはあなたの心よ
:他のヒトじゃない 悲しみに満ち満ちているあなた自身の心よ
/

手のひらを見るレイ
組成変化を起こしつつあるLCLの中、頬を伝い落ちて滴る黒い原組織

背部装甲を破り、機体の頭高を越えて噴き上がる零号機素体組織
これまで殲滅された使徒たちの姿がより異質で完璧な外形で集合樹を造成している
戦慄するアスカ
 アスカ「あれが、零号機…?!」
瞬間、銃を手放して回避する弐号機 宙で光条に貫通され砕け散る銃身
 アスカ「…チッ!」
最も近い兵装塔までの距離を測る弐号機 転路を塞ぐ形で次撃が襲う
ひたすら後退を強いられる弐号機

81 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:08:32 ID:???
上体をかがめ、操縦桿を握り直すアスカ
 アスカ「…攻撃が効かないはずよ。
    あの光が、使徒の高密度ATフィールドだとしたら。エヴァのATフィールドが中和する前に
    零号機は突破されてた。初めから侵食覚悟で行かない限り、本体には手が出せないんだわ」
きつく目を細めるアスカ
 アスカ「…そんなの、どうしようもないじゃない!」

発令所 主画面に映し出された零号機の異容
手もなく見守るだけの人々
 日向「これって…まさか、先のMAGIを介した直接出力と同じ…なのか?!」
 青葉「目標からの情報が、じかに零号機の構成素材を書き換えていってる。組織融合よりまずいよ」
 伊吹「既に生体部品の5%超が目標に再形成されています。パイロット、反応低下していきます」
暗い司令階
   碇「現時刻を以て初号機の凍結を解除」
振り返るミサト
   碇「出撃だ」
  .ミサト「はい」

最短経路で発進する初号機
  .ミサト『ATフィールド展開。アスカの弐号機と連携、レイの救出、急いで』
前方を見据える霧亥
流れる光条を曳いて聳える素体樹 遠ざけられた弐号機
初号機のATフィールドが展開する

82 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:10:57 ID:???
瞬時に向きを変える光端
  レイ「!」
目を開くレイ
機体知覚域中央に、彼方の初号機
認識と同時に初号機だけを目指し閃走する光尖

回避する初号機をかすめて地形構造体に激突する光条
脆く貫通される構造材 舞い散る破片
光条の予想軌道を避け大きく迂回して弐号機に接近する初号機
並ぶ両機
 .アスカ「…キリイ!」
 霧亥『綾波を助け出す。武器はあるか』
 .アスカ「さっきのでロスト、どっちにしろもう弾切れだったけど。補給も無理そう」
付近の兵装塔は使徒の軌跡に巻き込まれ内蔵武器ごと倒壊している
突っ込んでくる光条 いったん左右に離れる両機
急旋回した光端は初号機を狙う
目標接近を視認し、手にした銃をいきなり弐号機へ投げ渡す初号機
反射的に受け取る弐号機
はっとするアスカ
 .アスカ「…馬鹿、狙いはあたしじゃなくてあんたよ!」
標的を捉える光尖

83 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:11:58 ID:???
プラグ内に連響する被捕捉警告
  .ミサト『霧亥君、いったん離れて! 弐号機とATフィールド再展開、態勢を立て直すのよ!』
 .アスカ『何やってんのよ、近接戦闘は無理よ! みすみす侵食される気?!』
弐号機を背に立ちはだかる初号機
戦闘緊張を高めていく初号機 プラグ深部に満ちる巨大な息遣い
まっすぐ前方に顔を向けている霧亥
 霧亥「もう前に受けた」
 .アスカ『え?』
疾駆する光体
重心を落とし、正面へ身構える初号機
接触
顔前で光条を掴み止めた両掌面から始まる分子侵食 音をたてて食い広がっていく索状根
警報の中操縦桿を押し返す霧亥
高負荷に軋む機体 光条を掴んだまま侵食圧に抗して零号機本体に近づいていく初号機
即座に攻撃位置に移り銃口を据えるものの、とっさに発砲をためらう弐号機
 伊吹『目標、初号機に融合を開始!』
 日向『機体情報構造への汚染も発生しています! 各部防衛システム停止、なおも進行中!』
  .ミサト『霧亥君、退がって! アスカ、初号機を援護!』
 .アスカ『…馬鹿ッ! 何する気よ!』

84 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:14:04 ID:???
ノイズと警告群で埋めつくされた零号機エントリープラグ
主制御システムからの表示自体が徐々に機能解体を始めている
凍結と再作動を繰り返す機体視覚野
断続する振動 すぐ前に迫った初号機の姿 その前腕を侵食していく光体
頭を起こすレイ
  レイ「…これは、わたし? …あの人を一番壊してやりたい?」
変質を起こしている声
自らを見下ろすレイ
黒い異躯 再形成の緻密精巧な混沌の中に蝕解された手足
  レイ「…さびしい、から」
握り締めた光体の端がついに初号機頚部に届き、一気に侵食根を張り巡らせていく
目を見開くレイ
珪素基系で再構築された瞳孔が絞られる
圧壊する平盤面
勢いを増す使徒に押され、渾身の力で現姿勢を維持しようとする初号機 破損音
沈んでいく機体の上に激しい銃撃音 空しく熱片を散らす弐号機の連続狙撃
白く硬い顔にかすかな表情を浮かべるレイ
  レイ「…だめ」
骨格だけの両腕でざわめく身体を抱え込むレイ
聳え立つ変異体の下、不器用にその動作を映す零号機

85 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:14:54 ID:???
急転する空間相
使徒の外部侵食が止まり、零号機への全面反転が始まる
 伊吹「零号機、ATフィールド反転! 一気に侵食されます!」
  リツコ「使徒を押さえ込むつもり?!」
変転する零号機の機内表示を読み取り、悲壮な顔になるミサト

身を起こしているレイ
操縦席後方の緊急用直結制御装置が手動で起動される
  ミサト『…レイ! 機体は捨てて逃げて!』
全ての安全装置を解除し制御環を引き出すレイ
作動モードが切り替わる
表情の消えた顔
  レイ「だめ。わたしがいなくなったら、ATフィールドが消えてしまう。
    だから、だめ」
プラグ内動作音が変化する

明転する主画面を前に立ちつくすミサト
  ミサト「…レイ、死ぬ気」
目を逸らすリツコ

86 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:17:07 ID:???
強制逆流
悲鳴に酷似した電磁叫喚とともに零号機へ引きずり込まれていく使徒樹形と光条
大質量を呑み込んだ機体が不気味に軋む 複数の内破音
内部の超高圧に押しやられるように宙へ立ち上がる零号機
長躯が反る
解放されがくりと上体を落とす初号機

 アスカ「…あんの馬鹿たちッ!」
銃を捨て両機に向かって全速で飛び出す弐号機 機体動作が目に見えて力強さを増す
視野中央、痙攣的に上方を仰ぐ零号機

  .ミサト『…アスカッ! アスカ何してるの、戻りなさい!
     機体制御を発令所に強制移行、ただちに弐号機を緊急退避させて!』
 日向『駄目です! とても間に合いません!』
 青葉『零号機、限界です! これ以上は機体構造が保ちません!』
 伊吹『…コアが潰れます! 臨界突破!』
一瞬の主観的静寂
周囲全方位に満ちていく光
突然、視覚情報が激しく明滅して消える 断絶する各種知覚表示
黒変した目を見開くレイ
破孔
知覚されなかった大衝撃とともにプラグ上面が破壊されている
瀑出する気化LCL 大穴の開いた零号機胸郭ごしに見えるまばゆい外景
正面、距離数mの位置にハッチ開放した初号機のエントリープラグ
変わり果てた容貌で眼前の霧亥を見るレイ
烈光の下伸ばされた手が上腕を掴み、身体ごと一気に引きずり上げて初号機プラグ内に投げ出す
回る視界 衝撃 重く複雑な金属音
離断
白融する灼熱

87 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:18:28 ID:???
全観測器を貫く光と衝撃
真っ白になった主画面
やがて電磁波量がピークを過ぎ漸減していく
計器群が回復し始める
沈黙に覆われた発令所
熔融した風景 巨大な爆発孔 膨大な熱量に揺らめく大気
動かない人々
 青葉「……も…目標、完全に消失。
    …エヴァ初号機、および弐号機、先と同座標にて確認」
主画面中央に映し出される両機の遠影
かすかなどよめきが広がる
息をこらえているようなミサト
  .ミサト「各機の状況は?」
 伊吹「弐号機パイロットの生存を確認。
     初号機、および零号機、…プラグ内回線、断絶。…信号を確認できません」
  リツコ「…爆発の瞬間、両機のエントリープラグは」
信じがたいという表情で振り返るミサト が、すぐに憤激の標的を失う
口元を震わせる伊吹
 伊吹「…爆発時の電波擾乱のため確認はできませんが、…開放状態だったと…思われます」
  リツコ「…そう」
無人の司令階
  .ミサト「…作戦を終了します。ただちに戦闘配置を解除。第一種警戒態勢へ移行」
 日向「りょ、了解。状況イエローへ速やかに移行」
  .ミサト「初号機と弐号機を回収。生存者の救出、急いで」
  リツコ「…もしいたらの話ね」
何も言わないミサト
顔をそむけているリツコ
常態へ戻る発令所

88 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:21:44 ID:???
爆心地
吹き飛んだ堆積物に半ば覆われて折り重なっている初号機と弐号機
エントリープラグ内のアスカ
空っぽの表情
引き寄せた両膝 肩を掴む手
内蔵電力が使い果たされ暗いプラグ内
 アスカ「…あの馬鹿。
    せっかく、この私が行ってやったのに。…自分から零号機のATフィールドをこじ開けて、
    おまけにプラグが露出してちゃ、…意味、ないじゃない」
長い待ち時間の後、プラグを手動排出するアスカ
荒れ果てた環景
えぐられた街の残骸 溶けた装甲を吹き抜ける風の中に立つアスカ
再び長い時間の後、眼下を見下ろす
まだ熱い堆積物に頭部をめり込ませ横向きに倒れている初号機
装甲外に突き出ているエントリープラグ
瞬間的に損傷程度を理解するアスカ
ふと目を凝らす
吹き飛んで半分なくなったハッチ LCLが揮発し焼けただれた内部が覗いている
見開かれていくアスカの両目
動き
操縦装置の陰から身を起こす霧亥 深くかがみ込んで何かをかつぎ上げる
プラグスーツ姿でぐったりと目を閉じているレイ
劣化したスーツは分析不能な黒い粘液にまみれ、プラグ内にも同じ不活性物質が飛散している
小さく息を吸い込み、声を放つアスカ
 アスカ「…キリイ!」
レイを肩に立ち上がる霧亥 アスカを見上げる
かすかに身じろぎするレイ

89 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:24:17 ID:???
後刻 ミサトの個人居住区画
ダイニングの定席についているミサトとアスカ TVの前に寝そべっているペンペン
 アスカ「…で、結局二人とも検査入院だけなの?」
  ミサト「そう。あの爆発の中で、二人とも奇跡的に無傷に近かったそうよ。
    …アスカのおかげね。弐号機のATフィールドが、最後の瞬間に二人を守ってくれたのよ」
黙ってカップを傾けるアスカ
  ミサト「それと、もう一つアスカのお手柄があるわ」
気のない視線をよこすアスカ
  ミサト「久々に、シンクロ率の最大値更新よ。
    霧亥君とレイの記録を一気に抜いて、過去最高値。リツコが驚いてたわ。たった0.2秒で
    倍近くまで数値が跳ね上がるなんて信じられないって」
目をみはり、小さく口を開きかけたまましばらく黙っているアスカ
にっこりしてみせるミサト
  ミサト「よくやったわ、アスカ」
一瞬崩れそうな表情になるアスカ
ミサトを見つめ、やがて何かを飲み込んで自分を取り戻す
グワグワ言いながら椅子の足下に寄ってくるペンペン 優しい目になって抱き上げるミサト
ふと身をこわばらせるアスカ
 アスカ「…、ミサト?」
目を戻すミサト
 アスカ「二人の検査、そろそろ終わってる頃でしょ。
    キリイ、迎えに行った方がいいんじゃない? ちょうどお腹も空いてきたことだし」
  ミサト「ちょっと、…いくら検査だけって言っても、今日明日は様子見ないとマズイわよ。
    いきなり外食なんかに連れ出したら、あたしがリツコにどやされちゃうわ」
 アスカ「そんなの、あの痛覚ゼロ武骨頑丈男には関係ないでしょ。
    それにどうせ、あいつ、無理やりにでも引っ張ってこないとついてこないもの。
    ほら行きましょ、ミサト。問題あるならファーストも一緒に連れてけばいいのよ」
  ミサト「ええ? レイも? …ちょっと、待ちなさいアスカ! …」
あわただしく出ていく二人
小首をかしげて見送るペンペン

90 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:28:49 ID:???
格納廠内に固定された初号機
整備橋上には機体破損度診断を行う技術局担当整備員たちの姿
天井近くの耐衝窓から作業を見下ろす碇、冬月、リツコ
  リツコ「初号機のエントリープラグは構成部品の約四割が溶解、残りは重度の熱劣化全面破棄処分です。
     物理装具の一部は資源として回収できる可能性もありますが」
 冬月「鋳潰して再利用かね? どうであれもう使い物になるまい。プラグに搭載された全記録装置と、
     その中の、今回の初号機の戦闘記録もだな」
   碇「今回は作為の入り込む余地はない。委員会も異議は唱えまい」
軽く息をつく冬月
 冬月「その委員会から出頭命令が出ているよ。先のロンギヌスの槍の使用、そして今回の零号機の
     損失に関してだろう」
   碇「定例の訓告会だな」
咎めるような目で碇を見やり、やがて苦笑いする冬月
一瞬二人を凝視するリツコ
 冬月「自分の立場を考えろ。…度重なる独断、情報の隠蔽、ネルフの統制権強化。これらは全て
     委員会への明白な背信行為と見なされ得る。今回の両議事だけでもお前の解任理由としては
     充分すぎるぞ。おまけにサード、ファースト両名の件がある。とうとう進退窮まったな」
内容とは裏腹な語調の冬月
   碇「彼らも事態と状況は把握している。結果の知れた制裁劇などただの無駄手間だよ。
     サードとファーストについても、稀少な適格者が失われなかったこと自体に不満はあるまい」
 冬月「だからと言って、あの状況下から事実上無傷で生還では苦しいだろう。委員会にまであれを
     弐号機の発揮で通すつもりか?」
  リツコ「…失礼ですが、この場に私が同席している理由はそれでしょうか」
視線を向ける碇と冬月
決然と佇んでいるリツコ

91 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:31:03 ID:???
  リツコ「弐号機のATフィールド展開が、厳密には間に合わなかったこと。物理的状況から言って、
     ファースト、サード両名ともに生存の可能性はゼロだったこと。…人間ならば、ですが」
   碇「そうだ」
どの問いへの回答かはかりかねて表情を硬くするリツコ
軽く口元を引き締める
  リツコ「弐号機には目標との接触を禁じたのに対して、初号機…いえ、あのサードチルドレンには
     今回一切の行動制限を課さなかった。本人も、自分がどう行動すべきかを知っていた形跡が
     ある。プラグの機器は破損しても、発令所でモニターしていた通信記録は残っていますから。
     そして救出後のレイの医療記録は、全て極秘として技術局の閲覧まで禁止している」
無言の碇、冬月
  リツコ「葛城三佐やセカンドチルドレンも気づいています。彼ら、そしてエヴァには、自分たちの
     自分たちの知り得る以上のものが隠されていることを。かつての加持一尉、…そして、私も。
     …あなたは、一体何をご存知なのですか。碇司令」
碇を正視して言い切るリツコ
長い沈黙
一歩出て碇に並ぶ冬月 口を開く碇
   碇「…そうだ。我々は知っている」
 冬月「これまでは隠されなければならなかった。だが、その段階は終わろうとしている」
わずかにひるむリツコ
無表情のまま正対し、見たことのない真摯な目でリツコを直視する碇
身内でひそかに息を呑むリツコ
   碇「我々の時間は残り少ない。まもなく階層の閉塞が終わる。我々はその庇護なしで生きて
     いかなければならなくなるだろう。そのために、我々にはエヴァが必要だ」
 冬月「エヴァを動かせる人間。そして、事実を知る者が」

92 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:31:52 ID:???
碇と冬月を前に立っている自分に気づくリツコ
やや自嘲気味に視線が下がる
  リツコ「…あなた方に必要なのは、レイや、あのサードチルドレンではないのですか」
   碇「彼らは人ではない」
目を上げるリツコ
何か読み取れない感情を湛えている碇の両目
そこに己の望みを読み取ろうとするリツコ
   碇「まもなく最後の使者が訪れる。それを倒せば定められた終局が始まる。
     …エヴァシリーズ開発の功労者、ネルフ主任科学者、赤木リツコ博士。君が必要だ」
おののきながら碇を見つめるリツコ
定まる表情
視線を外している冬月
   碇「明日より技術局は通常業務に戻す。ファーストチルドレンは現状維持。セカンド、サードに
     ついても同様だ。これまでと同じく座標追跡と監視は継続する」
  リツコ「はい」
わずかな沈黙の間
ためらい、ほんの少し前に踏み出しかけるリツコの片足
   碇「…では、報告は次回の定例会議に」
目を見開くリツコ
眼前で逸れる碇の視線
歩み去っていく後ろ姿 一瞬気遣わしげな目でリツコを見つめ、続く冬月
立ちつくすリツコの白い顔

93 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:35:27 ID:???
本部最上層 総司令執務室
デスク隅の専用装置に告示灯がともる
組んだ両手をほどき、ごく静かに席を立つ碇
視線を送る冬月
 冬月「…何を考えている、碇」
無言の碇
 冬月「委員会が要求してきたのはレイ当人の喚問だろう。それを拒否、さらに代理人を通じての
     間接尋問も拒絶。その代償が、接触実験以来初の、お前自身の脳の直挿解析か。
     …いいのか。そのまま処刑にすり替わるかもしれん措置なんだぞ」
   碇「彼らは既に既知階層居住圏の全居住者の人格情報記録を電積した。残るエヴァシリーズ九機は
     現在集積蔵跡で最終調整中だ。あれが動き出したら止めるすべはない。だがネルフの役目は
     まだ一つ残っている。差し出すにはこれが最後で最良のタイミングだ」
溜め息をつく冬月
 冬月「使いどころか。…なあ、本当にお前の脳の中に、空白を埋める情報が見つかるのか?」
外した眼鏡を机面に置く碇
   碇「わからない。問題なのは、老人たちがそう信じているということだ」
執務室に隣接する遠隔直信房に向かう碇
その背中に向き直る冬月
 冬月「…碇。なぜ要請通りに赤木博士の代理召喚に応じなかった」
振り返らない碇
 冬月「それで彼女を庇ったつもりか。…それはただの傲慢、思い上がりというものだ。
     お前は結局、誰のことも受け入れる気がないのだろう。ならば何をしても無意味だよ」
疲れた顔をしている冬月
 冬月「表面的行動だけでは、人の心は変えられないよ。いや、余計に悪い結果を招くだけだ。
     わかっているんだろう、碇」
直信房の扉が閉められる

94 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:36:51 ID:???
薄暗い自室の中央に佇むレイ
次々に床の上に落ちる治療帯と各種誘導装置
鏡に映る顔を見つめるレイ
がらんとした室内を振り返る 澱んだ空気を旧式の清浄設備が撹拌している
天井隅の煤の痕 建造材剥き出しの床と壁 戸口の向こうに狭いキッチンと浴室
窓全体に引き下げられた複節偏光膜の隙間から洩れる外の光
収納台の上に光る実験容器の水 医学関係の古いハードコピー
壊れた眼鏡
 アスカ(あんたは、ちゃんと自分の部屋に帰ってるの?)
寝台に腰を下ろし、両腕を後ろについて深く息を吐き出すレイ
目を開いて軽く唇を噛みしめる
  レイ「…ええ」

95 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:37:58 ID:???
久しぶりの自室の寝台で仰向けに天井を見上げている霧亥
廊下を抜けた先ではリビングでアスカが雑誌片手に寝転んでいる
ダイニングの共有端末から通話着信音
アスカが動く気配がないので立ち上がって出ていく霧亥
頁に指をかけ、誌面に視線を落としたまま知らんぷりしているアスカ
通話器を取る霧亥
  リツコ『霧亥君ね』
 霧亥「…赤木博士」
  リツコ『そのまま聞いて。あなたの追跡機構を解除したわ。今なら外に出られるわよ』
窓の外へ目をやる霧亥
  リツコ『静かに家を出て、これから送る経路通りに本部へ来てちょうだい。
     見せたいものがあるの』
通話が切れる
振り返り、すぐ前に立つアスカを見る霧亥
 .アスカ「…行くの?」
 霧亥「ああ」
まだ立ちふさがっているアスカ
傍らを通りすぎようとして、ふいに立ち止まる霧亥
アスカを振り返る
 霧亥「来るか」
少し目を見開くアスカ すぐきつい表情に戻る
 .アスカ「…行くわ」

96 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:40:24 ID:???
セントラルドグマ大深度地下
超構造体半内部空洞を埋める堆積層の奥深くに貫造された施設群 大半は使用者もいない
古い壁上に色褪せた『人工進化研究所 第三分区』なる文字を見つける霧亥
張りつめた足取りで前を行くリツコ
極端に照明の少ない通廊が闇の奥へ続く
少し足早になるアスカ
全員無言
通廊が終わる
厳重に磁鎖された扉の脇にもたれているミサト 無造作にその手に提げられた拳銃
目を上げる
  .ミサト「…やっぱり来たわね。リツコ」
  リツコ「よくここまで来られたわね、ミサト。…加持君のしわざかしら」
  .ミサト「ここの秘密、この目で見せてもらうわ」
  リツコ「いいわ。でも、この子たちも一緒よ」
一瞬アスカの顔に視線を留めるミサト
  .ミサト「…構わないわ」
網膜認証を済ませ、カードリーダにIDを通すリツコ
電鋼錠と重磁遮蔽が解除される

97 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:44:10 ID:???
長い潜降茎洞を抜けやや広い部屋に出る一行
壁際に据えられた医療用寝台の周囲に雑多な配線や装置類が放置されている
見覚えのある配置を見回す霧亥
天井隅に張られたくすんだ被覆材 医薬品や容器の置場と化している大型装置の上面
眼鏡だけがない
 霧亥「…綾波の部屋」
信じられない顔で振り向くアスカ
 .アスカ「嘘でしょ、あの子の部屋って、…こんななの」
不可解な微笑を浮かべているリツコ
  リツコ「綾波レイの部屋よ。彼女が人になることを覚えたところ。
     レイの情報構造に底在する光と水のイメージは、ここの影響が強く残ってるようね」
押し黙っていたミサトが口を開く
  .ミサト「赤木博士。あたしはこれを見にきたわけじゃないのよ」
  リツコ「わかってるわ」

堆積層の埋蔵物をじかに掘り抜いて確保された広大な空間
手前の狭い範囲だけを染める照明の輪
長期の電力供給中断を示す静寂 真っ暗な遠景にぼんやりと浮かぶ巨大設備群とその動力系統
深く長い溝 かすかな光が内部に積み上げられた大量の物体を照らしている
息を呑むアスカ
 .アスカ「…エヴァ?」
全身に大容量端子を繋がれ、設備内の旧型の集積処理塔に接続された巨大な骨格の群れ
全て零号機と同型 ふとそこにMAGIを通じて生成された使徒行動体の面影を瞥見するミサト
  リツコ「そう、最初のね。十年前に破棄されたわ。今はただのゴミ捨て場よ」
何も見ていないリツコ
  リツコ「でも思い出深い場所だわ。私はね、ずっとここでエヴァを造ろうとしていたの。
     失われた古代の技術の再現。復元された総体情報の補完と再物理化。
     …あなたの備えているような力を、別の形で人の手にもたらすためにね。霧亥君」
きっとリツコを見据えるミサト
無言の霧亥
明らかな笑いを洩らしてきびすを返すリツコ


98 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:49:14 ID:???
広大な円形の一室
天井部全体を占める物理脳を思わせる巨大構造物
何度となく補修と増設を重ねた形跡 素材表面には長期間に多くの人の手が残した幾層もの痕跡
低響する深い呼吸音と重い拍動
構造物深奥から床中央に届く直立型液槽 淡く発光するLCL
LCL槽内径に嵌められた複数の環状装置から大量の接続生端子が伸び出している
漠然とその用途を察して顔をこわばらせるアスカ
入り口から進んだまま、三人に背を向けて立っているリツコ
やや明るい室央と闇に沈んだ周壁
輝度の低い埋設照明が床上に靄を作っている
  .ミサト「ここは?」
広波長帯に渡って見通しの悪い室内を見回しているミサトとアスカ
動かない霧亥
  リツコ「今見せるわ」
手の中の小型端末に指を添えるリツコ
  リツコ「…真実を」
空間内の明暗が逆転する

99 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:51:19 ID:???
溢れるLCLの微光
照らし出される全周の環状液槽
揺曳する光の中に浮かぶ、人になりそこなった人型の動かぬ群れ
黒光りする骨格と珪基構造を覆う超硬外殻を備えたものから、皮膚と内臓の類似物を発達させたもの、
人形の無貌の周囲に髪を揺らめかすものまで、さまざまな躯体が形成の諸段階で活動停止している
人間部分は明らかにレイの特徴を備えている
声もなく立ちすくむミサト
両目を見開いて凍りついたアスカ
無言の霧亥
環槽天井部からLCL中に突き出した数十基の古い電極腕 電力の切られた尖端
出力端子腕は暗い上方で室内の巨大脳構造から分岐している
  .ミサト「…これは…まさか、エヴァのダミープラグは」
  リツコ「そう、ダミーシステムのコアとなる、搭乗者の心を真似た擬似思考構造。その形成施設よ」
端末を手に床面だけを見ているリツコ
淡い光の中の後ろ姿
  リツコ「ここにあるのはレイの情報的実体。その不完全な外部記録装置に過ぎないわ。
     人は世界への手がかりを見つけたので喜んで使おうとした。だから排除機能が発動した。
     それが十五年前。せっかく発掘した接続手段も堆積層と一緒に失われてしまったわ。
     それで今度は自分たちの手でそれを再現しようとした。それがアダム。そしてアダムから、
     残されたログを元に新たな接続装置を造った。それがエヴァ」

100 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:53:10 ID:???
引きつった顔に笑いらしきものを浮かべるアスカ
 .アスカ「接続…ネット端末遺伝子だっていうの? あの人形が?」
仮面めいた笑顔のリツコ
  リツコ「不完全な合成物よ。あんなに大きな人型を造っても、階層閉鎖時点で既に、本物の機能には
     到底及ばない、出来そこないでしかなかったもの。
     だけどそのエヴァは私たちには使えなかった。生き残る過程において多くを忘れてきた人は、
     この閉鎖階層に定住することで、さらに多くを失ってたの。私たちはエヴァのための適格者も
     造らなければならなかったのよ。例えば、幼い頃に電装移植を行うことで、身体改造全盛期の
     電子的器能を再現し、補佐構造として後脳内に別の人間の個性を分植することでね」
ぴくりと肩を震わせるアスカ
 .アスカ「…どういう…意味…?」
  .ミサト「リツコッ!」
今や大きく歪んだ笑いを浮かべているリツコ
  リツコ「人はエヴァを使えないの。例外は初号機だけよ。そしてレイだけ。今はそこの来訪者もね」
  .ミサト「…レイ…霧亥君…?! …リツコ、一体何を言ってるのよ!」
  リツコ「ダミーとはここから複製されたレイの思考構造の劣化物よ。だからエヴァに接続できる。
     個性の生じたユニットはレイ、一人だけだったの。ガフの部屋は空っぽになってたのよ。
     そこに浮かぶ物体は、レイができる前の、ただの堆積層の誤出力の産物。私の無力の証拠。
     …だから今こうするの。哀れだから」
端末の別のキーを押すリツコの指

101 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:56:05 ID:???
立ち昇る気泡
LCL環状槽の中で電極腕が通電し、中断されていた形成工程が再開する
渦巻く液流 LCLを材料に自らを不器用に成形していく未完成躯体群
弾かれたようにリツコへ拳銃を向けるミサト
  .ミサト「…あんた、自分が何やってるかわかってんの!」
  リツコ「ええ。創造の真似事よ。
     真正の階層システムじゃないもの。それを真似ただけのただの再現物だもの。
     でもそんなものしか私には造れなかった。レイに勝てるはずなかったのよ」
ふいにリツコの声が乱れる
  リツコ「あの人のことを思うだけで、どんな、どんなことだってできた。
     私の手なんかいくら汚れたって良かったのよ。でもあの人は…あの人は、…あの人は、
     …私のことも、母さんのことも、一度も見なかった」
拳銃を下ろすミサト
  リツコ「…馬鹿なのよ、私は。…親子揃って大馬鹿者だわ」
大粒の涙の流れるリツコの顔
  リツコ「…ミサト、この出来損ないたちがそうする前に、私を殺して。
     いえ、そうしてくれると嬉しいわ」
低い囁き声
かぶさる打撃音 円形の部屋の全周で無制御に環状槽壁を叩き始める躯体群
全身をすくませているアスカ
彼女を見、瞬時に戦闘指揮官の顔を取り戻して拳銃を構えるミサト

102 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:58:12 ID:???
  .ミサト「…それこそ、馬鹿よ。
     今のあなたがしなきゃならないのは、こいつらを止めることの方でしょう! 
     造ったのなら制御できるはずよ。今までだって必ず成功してくれたじゃない!」
リツコの肩を掴むミサト
うつむいて揺さぶられるままになるリツコ
きつく目を細めるミサト すばやく周囲を一瞥し、アスカと霧亥を引き寄せる
激しさを増す乱打 硬化隔壁に走り始める亀裂
と、ミサトの手をすり抜ける感触
かろうじて顔を上げるミサト
三人を背に真上に銃を構えている霧亥
短い充填ノイズ
閃光
中央を撃ち抜かれる巨大脳構造
一瞬おいて構造が跡形もなく吹き飛び、余波が槽壁と内部の躯体群を巻き込む
溢れ出たLCLの大波が一行を呑み、致命的な衝撃を遮る
壁を抜いて終息する爆発
流失していくLCLの中から立ち上がるミサト 周りを見回す
膝下辺りまで水位の下がった床に座り込んでいるアスカ
助け起こそうと伸ばしたミサトの手の先で、別の手がアスカを掴んで引っぱり上げる
思わず問うミサト
  .ミサト「…どうして、あの記録装置まで」

103 :log.23 涙:2006/11/21(火) 12:59:16 ID:???
ミサトを見ない霧亥
 霧亥「あれは使徒だ」
立ち上がらされて呆然と見つめ返し、恐怖の表情でその手を振りほどくアスカ
何も言わず銃をしまう霧亥
躯体の破片が浮かぶ液面を分けてリツコに歩み寄るミサト
動かない背中
手の中でLCLを滴らせる拳銃
かける言葉を持たず、立ちつくすミサト


log.23 終
ああ長かった
保守してくれた方々本当にありがとうございました

104 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/11/26(日) 11:32:42 ID:???
sate

105 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/11/30(木) 12:33:19 ID:???
人のいないスレ。

106 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/12/04(月) 20:31:01 ID:HDZTaObu
ぼくらのアニメ化による浮上

ちなみに、トウジは鶴丸と文吾を足して二で割った感じがする。

107 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/12/05(火) 10:46:29 ID:???
行くべきスレを間違えてるぜ
なるたるの話はこっちだ
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1154831972/l50

文吾はわかる気がするが鶴丸はちょっと違わないか?
関係ないがハイヌウェレってどことなく弐号機っぽい
たぶん作品内での使われ方とかが

108 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/12/09(土) 12:01:54 ID:???
hihi hoshhosh

109 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/12/14(木) 09:41:18 ID:???
mou choi

110 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/12/19(火) 12:28:30 ID:???
naniga?

111 :log.24 最後のシ者:Aパート:2006/12/22(金) 12:19:03 ID:???
暗闇の端に光の領域が切り込む
佇む碇の影
正対する霧亥
両者の間の長い距離 闇に沈む空間の諸構造
   碇「なぜダミーを破壊した」
 霧亥「綾波じゃない」
   碇「その役目は果たせた。…レイを残していくことはできない」
 霧亥「なら綾波にそう言え」
わずかに険しい目になる碇
 霧亥「あれは機能しない。エヴァでもない。使徒だ」
背を向け歩き出す霧亥
   碇「待て!」
振り返る霧亥
直視する碇
   碇「なぜレイを破壊しなかった」
 霧亥「…お前はなぜだ?」
答えない碇
音をたてて遮断される光

112 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:20:12 ID:???
独房のリツコ
一脚だけの椅子に坐り両腕を膝上に投げ出して深くうなだれている
拘束および移送時以来一切の干渉はない
大きすぎる空間の隅に簡易寝台 高い位置にある窓または光源
不動の光が床の上に落ちる
突然、背後から抱きしめる両腕
息を呑んで顔を上げるリツコ 振り返り、ゆっくりと両肩が落ちる
  リツコ「…何の用、加持君」
 加持「古い友人を気遣いにきたのさ。…なんて答えじゃ、追い出されるかな」
  リツコ「…なら本当なのね。でも帰って。あなたを待ってるのは私じゃないわ」
 加持「わかってるさ」
リツコの肩越しに続く暗い床面
 加持「…少し痩せたかな」
  リツコ「どうしてそんなことわかるの」
そっとリツコの目元に触れ、涙の跡をたどって離れる加持の指
 加持「悲しい恋をしてるからさ。このまま、一生泣き続けるつもりかい」
目を閉じるリツコ
  リツコ「失望じゃないわ。最初から、期待も希望もなかったもの。現実の繋がりもね。
     …もう離して。私がこうしてほしいのはあなたじゃないもの」
 加持「わかってる。俺は失意の友人を慰めたくて来た、ただの旧友だよ。リッちゃん」
かすかに笑むリツコ
  リツコ「そうね。加持君」
加持の腕に手をかけ自分からその抱擁を解くリツコ
静かに身を離す加持
振り向かないリツコ
 加持「葛城も、心配してるよ。…じゃ」
離れる感触
再び一人になるリツコ

113 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:24:09 ID:???
第三新東京市を後にする都市間軌道群 続発する疎開車輌の列
無人に近い新湯本駅構内に瞬く運行表示
ホーム端 最後の手荷物を足下に最終便を待つトウジ
よく知る声に振り返る
手を上げて歩み寄ってくるケンスケ
少し遅れて、ペンペンを抱いたヒカリ
.ケンスケ「よ。…なんだ、とっくに行っちまってるのかと思ってたのに」
 トウジ「お前こそまだおったんか。もっと早い便の搭乗権、取れたんやなかったんか」
.ケンスケ「パパが、さ。土壇場になって、予備の資料も全部持ってくなんて言うから。おかげで俺まで足止め」
 トウジ「迷惑な話やな。…委員長は? 家族と一緒か?」
  ヒカリ「ううん。コダマお姉ちゃんたちはもう行ったの。券が取れなくてね、私だけこの便。…私から
    残るって言い出したの、どうせ揉めるからって。…この子をね、受け取りに行くのもあったし」
腕の中のペンペンを見下ろすヒカリ
きょとんとした視線をがらんどうの駅舎に投げているペンペン
とっさに言葉を失うトウジ
街の方角を振り返っているケンスケ
.ケンスケ「この次の保証はないから、だと。…案外勝手だよな。ミサトさんも」
 トウジ「…おいこら」
.ケンスケ「勝手、だろ。だって、自分は残るんだぜ」
きつい顔のケンスケ
もはや再建されることもない第三新東京市外郭を睨んでいる
詰問のきっかけを逸するトウジ 同じ方向を見据える
ペンペンを抱きしめるヒカリ
車輌の入線案内が響く

114 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:24:56 ID:???
.ケンスケ「…ま、当たり前のことなんだよな。
     住めなくなったら、移動する。何十世代も前は、それで普通だったんだから」
 トウジ「…エヴァパイロットは変わりもんが選ばれる、か」
.ケンスケ「そ。変わりもんだよ、みんな」
ふいに短く気を吐くトウジ 驚いて振り返るケンスケとヒカリ
.ケンスケ「トウジ」
激昂をあらわに顔を上げるトウジ きつく握りしめられた拳の震え
 トウジ「……ワシにも、エヴァがあったらなぁ。エヴァがあれば、ここ出ていかんでも済んだやろ。
     …あいつら残して、自分だけ逃げるんや。…無茶苦茶悔しいわ」
殴られたように押し黙るケンスケ
  ヒカリ「…馬鹿!」
はっとする二人
両目に精一杯の憤りをみなぎらせているヒカリ
  ヒカリ「パイロットになれてたって、…それでもし死んじゃったら、何にもならないじゃない!
     アスカも、ミサトさんも、碇君も綾波さんも、そんなために残ってるんじゃないでしょう!」
揃ってヒカリを見つめるしかできない二人
轟風とともに入線する最終便
無言で乗り込む三人
席につくのもそこそこに耐圧処理された車窓から街に目を凝らす
音もなく発車する軌道車輌
 トウジ「…わかっとるわ」
.ケンスケ「…何が?」
次々と窓外を通過する無人の居住区 外周廃区 初期開発跡 放置された建設器械群
 トウジ「妹の奴がな。次の駅で待っとるんや。お父んとお爺んも一緒や。喜んどる。晴れて退院やてな」
.ケンスケ「…そっか。…めでたいな、大いに。…うん。マジにさ」
並んで車窓に映る三人の顔
構造体が切れ、視界を占める平盤の広大面
見る間に遠ざかる第三新東京市

115 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:25:43 ID:???
レイの個人居住区画
古い血のしみの残るベッドカバーの上に投げ出された鞄
寝台脇の椅子に腰掛け、自分の腕を見下ろすレイ
白い皮膚と細い輪郭
見つめるレイ
視覚が切り替わる
擬装表層の下に透けて見える珪素基系骨格と休止状態の内蔵機構
カチリと視野が戻る
再び白い皮膚に包まれた細い手 軽く握られ、開かれる
脳裏を連閃する記憶 使徒と初号機の印象からサードチルドレンの諸像へ
静かに顔を仰向けるレイ 閉じた両目
膝の上に置かれた手
薄く目を開くレイ
暗い天井面
  レイ(…一人)

116 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:32:22 ID:???
自室にこもっているアスカ
両腕を枕にベッドにうつぶせている
    リツコ(人はエヴァを使えないの。私たちは適格者も造らなければならなかったのよ)
    アスカ「…お笑いぐさだわ。ほんとに特別だったなんて。私、一人だけが」
部屋を駆け抜ける幼い少女の姿
 幼いアスカ(ママ! ママ、私選ばれたの! 人類を守るエリートパイロットなのよ!)
     声(再接続こそが階層科学者の悲願とは言え、こうまでして自分の理論を実証したいかね)
     声(人格の恒久的破損。接触痕で物理脳は損傷、接合施設で保存していた実験時の
       継時個体ログも壊滅)
     声(当人にすればこれも本望か。だが、この結果だけを突然突きつけられた家族はどうなる)
 幼いアスカ(誰にも秘密なの! でもママにだけ教えるわね!)
    リツコ(幼い頃に電装艤植を行うことで身体改造全盛期の人間の電子的器能を再現し、後脳内に
       他の人間の人格を分植してその下位補佐構造とする)
 幼いアスカ(いろんな人が親切にしてくれるの! 私は人類の希望って言われて、とっても大事にされてるのよ!)
 幼いアスカ(だから、パパがいなくたって平気よ! 寂しくなんかないわ!)
 幼いアスカ(だから見て、もう一度私を見て!)
     声(総体喪失の果てに自殺した母親の遺体を、最初に見つけたのがあの子だそうだ)
 幼いアスカ(ねえ! ママ!)
開け放った扉の前で立ちつくす少女の姿
     声(偉いのね、アスカちゃん。よく我慢したわね。もう泣いてもいいのよ)
手を引かれ醒めた表情で葬儀に参列する少女
 幼いアスカ(いいの。泣かないの。だって)
    アスカ「…あれは、もうママじゃないもの、か」
目を開けるアスカ
ベッドの上で向きを変える 視線の先に半ば開かれて置かれた自分の手
    アスカ「知ってた。…何か、知ってたんだ、私。あのときから。…でも、何を?」
投げやりな目になるアスカ 仰向けに天井を見上げる
    アスカ「…ま、どうでもいっか。どうせ、一人だもの」

117 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:37:10 ID:???
  .ミサト(…今、自分が一人でいるかどうかじゃないのよ)
第三新東京市の外観
層をなす天蓋都市の大半は零号機とともに消却され、超構造体開口部を覆う人造蓋盤だけが残っている
周縁部に取り残されたわずかな市街の灯 遠く残存居住区の活動音
中央はえぐられた闇
深淵の縁に停められたアルピーヌ・ルノー改
車外に佇むミサト
周囲全方位に広がる階層大構造の巨大な沈黙
超構造体の発光時刻は未だ遠く、都市構造も人造構築物群も暗闇に紛れている
闇の中に握った拳を差しのべるミサト
  リツコ(よくここまで来られたわね。加持君の仕業かしら)
開かれる手のひらの上には開封されたカプセルの外包
平盤を渡る風が深淵へ攫う
白く消えた軌跡の残像を追って佇んでいるミサト
  .ミサト(記憶。記録。存在。距離。…どれも最後は、私の心で決めなければならないことなんだわ。
     傍にいなくても、あなたは同じここにいる。残される証を、私は見つけていける。
     だから、鳴らない電話を待つのはもうやめるわ)
軽く側頭部に触れる
皮下スロットに収まったカプセルの内容物は加持の全調査結果を収蔵した記録素子
  .ミサト(…あなたの心、受け取ってるもの)
車載通信装置が鳴る
ドアを開け通話器を取るミサト
 日向『例の臨時監査委員会、突き止めました。やはり実体は都市連内部にはありません』

118 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:38:04 ID:???
  .ミサト「となると、やはり補完委員会が直接…? どおりで作戦部への強制待機命令まで出せたわけだわ」
 日向『強引に凍結解除した初号機はともかく、作戦部全体の、監査期間内の活動を全面停止ですからね。
     ですが、それも明…いえ、日付が変わりましたので本日、1500には解除される予定です。監査側も
     同刻までに撤収。調査結果については無期限非公開となってます。…気になったんで、個人的に、
     都市連当局サイドの該当領域に潜ってみました』
  .ミサト「…危ないことするわねー。で、何か掴めた?」
 日向『それらしいファイルは作成されてますが、中身は事実上無関係。調査報告自体ダミーですね』
  .ミサト「もはや恰好つけるつもりもない、か…その日は近いわね。たぶん」
 日向『都市連内もあわただしくなってますよ。まだ水面下ですが、この時期になって主な権益関係が
     大幅に再編成されてきてます。近いうちに、組織の主構成人員の大規模な交替もありそうです』
  .ミサト「そう。誰かさんはもう都市連…いえ、階層社会そのものを必要としなくなってきてるわけね。
     こりゃ、こっちもおちおちしてらんないわね」
 日向『今日はこのまま?』
  .ミサト「いえ、一度帰るわ。今日はアスカが朝食当番だから。起きてくるかどうかわかんないけど」
 日向『起きてくれますよ。それじゃ、本部で』
通話を切り、そのまま車に乗り込むミサト エンジン音
暗いミラーに映る鋭い面差
  .ミサト(で、今日、零号機の代わりに急遽投入予定の量産型に先立って、新選抜された五人目が到着。
     …出来過ぎてるわね)

119 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:39:51 ID:???

同所 18時間後
輝度の薄れた超構造体の放射が眺望を染めている
失われた街のほとりに立つ霧亥
装甲蓋盤の表面は熔けて流れ下った形状のまま固まり、滑らかに降光を反射している
岸辺を形成する廃墟
ふいに視線を上げる霧亥
装甲溜に半没した鋼梁の上辺に腰かけている人の姿
網膜に重なる分析結果群 警告表示
瞬時に銃を抜く霧亥
据えられた銃口の向こうで少年が振り返る 静謐の掠めるような微笑
銃を向けている霧亥
不動の二人
 .カヲル「『塹壕の半ば凍った泥の中で何時間も待機したことを、オットーは覚えていた』」
わずかに不可解の表情を示す霧亥
目を逸らすことなくまっすぐ顔を向けている少年
拡大表示された両網膜とその走査結果
言葉を失っている霧亥
 .カヲル「言葉はいいね。記録される言葉は記憶を遺してくれる。人の生み出した文化の基だよ」
屈託なく笑いかける少年
 .カヲル「そう感じないか。…碇霧亥君」
再度かすかに表情を変える霧亥
ややあって銃を下ろす
その動作を眺めている少年
目を逸らす霧亥
 霧亥「俺は碇じゃない」
 .カヲル「知っているよ」
顔を上げる霧亥

120 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:40:38 ID:???
 .カヲル「失礼だが、ここでは誰もが似たようなものなのさ。それぞれの立場に応じてね」
初めてまともに相手の個性を認識する霧亥
 霧亥「…誰だ」
薄光の中で微笑する少年
 .カヲル「渚カヲル。そう呼称される対象。仕組まれた子供。…フィフスチルドレンさ」
はっきりと険しい顔になる霧亥
 霧亥「お前が」
頷くカヲル
身体を起こし、身軽に鋼梁の交差から光る金属溜の表面に降り立つ
無言で注視している霧亥
闊達に歩み寄るカヲル
 .カヲル「カヲルでいいよ。碇君」
明らかに憮然とする霧亥
 霧亥「…霧亥だ」
破顔するカヲル

 冬月「例の、フィフスの少年が到着した。既にサードチルドレンと接触したようだ」
言いさして視線を上げる冬月
執務に没頭している碇
顔をしかめる冬月
 冬月「…今回はマルドゥック機関は通していない。委員会から直接届けられた人物だ。
     レイと同じく、過去の経歴は白紙、全て抹消済み。唯一、出生時点はセカンドインパクトと
     同一日となってる」
答えない碇
 冬月「現在、MAGIが総力を挙げて彼の全情報痕跡を洗っている。だが恐らく…」
   碇「わかっている」
長い影の落ちる総司令執務室
軽く眼鏡を押さえ立ち上がる碇 見守る冬月
   碇「…全て、シナリオ通りだな」

121 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:41:42 ID:???
本部施設外 ジオフロント予備遊水槽架橋部
停められたアルピーヌ・ルノー脇で橋の手すりに寄りかかっているミサトと日向
  .ミサト「委員会が直で送り込んできた子供よ。必ず何かあるわ」
 日向「しかし現在のところ、明白な証拠は何も…赤木博士不在の今、MAGIといえど隠密裏の情報探索には
     限界があります」
  .ミサト「そう。…で、初の顔合わせは、今日のハーモニクステストで?」
 日向「はい。四人とも同じ条件下で、全機共通の基幹体のみとの神経接合試験を行う予定です。
     零号機はロスト、五人目の彼の機体は、未だ調整中とのことですからね」
  .ミサト「とりあえずは標準データで小手調べ、か。…リツコがいないんじゃ突っ込んだテストは無理ね。
     今日のところは、素直にお手並み拝見と行きましょ」
鋭い目を本部施設へ投げるミサト

本部第七実験場管制室
シミュレーションプラグ内の四人を眺めるミサト、冬月、オペレータら
場を支配している沈黙
 冬月「…この結果で、本当に間違いないんだな」
 青葉「MAGIによる複合検証は全てパスしています。計測誤差及び算出ミスの可能性は、0.008%以下です」
 日向「四者の仮想接続体にも、許容範囲を超える条件相違は認められません。確認済みです」
畏怖に近い吐息を洩らす冬月
 冬月「…よもや一切の電装艤植なしに、エヴァとシンクロできるとはな」
 伊吹「でも、考えられません」
珍しく強い語調で言い切ってから我に返る伊吹
 伊吹「いえ、…システム上、あり得ません」
  .ミサト「だけどこれが事実なのよ」
振り返る伊吹
両肘を抱え画面のカヲルを見据えているミサト
  .ミサト「事実をまず受け止めて、それから、原因を探ってみて」
主管制画面前で動かない大人たち
最高安定値を示しているカヲルのハーモニクス数値
何の構えも気負いもなくLCLの中で目を閉じている端正な白い顔 ごくかすかな笑み
わずかに目元を強張らせるミサト 各プラグとの回線を開く
  .ミサト「…四人とも、上がっていいわ。お疲れさま」

122 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:44:44 ID:???
ロッカールームを出、目を上げる霧亥
正面通路の壁にもたれているカヲル 霧亥を認めて笑いかける
無言で通り過ぎる霧亥
微笑して身を起こし、さりげない動作で隣に並んで歩き出すカヲル
若干顔をしかめるが結局放置する霧亥
通廊の先で待ち構えていたらしいアスカと遭遇
素直に驚いた顔をするカヲル 露骨に険のある目を向けるアスカ
立ち止まる霧亥
 .アスカ「何よ、もう仲良くなったってわけ」
黙っている霧亥 微笑するカヲル
 .カヲル「惣流アスカさんだね。セカンドチルドレン。エヴァ弐号機専属操縦者」
差し出された形のいい手を見下すアスカ
 .カヲル「渚カヲル。よろしく」
 .アスカ「…そういう古臭い身体言語に馴れる趣味はないわ」
 .カヲル「そう? 僕は好きだな。一次的接触を個別体験以上のものに昇華する。忘れ去るには惜しいよ」
気にするでもなく手を引き、両ポケットに突っ込んで姿よく佇むカヲル
所作の途中でもしきりに霧亥へ向けられる視線 硬い顔つきになるアスカ
両者を残して立ち去ろうとする霧亥
顔をしかめ口を開くアスカ が、すっと前に出たカヲルに先を越される
進路を塞がれてやや不機嫌に目を上げる霧亥
微笑んでいるカヲル
 .カヲル「もう一人には紹介してくれないのかい?」
 霧亥「誰だ」
意外そうな顔をするカヲル

123 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:48:42 ID:???
 .カヲル「ファーストチルドレンさ。綾波レイ」
瞬間、湧き上がる恐怖の印象を抑え込むアスカ
霧亥の肩越しに興味の一瞥を投げるカヲル すぐに無表情を装うアスカ
若干立ち位置を変える霧亥
 霧亥「…綾波ならまだ本部にいる」
 .カヲル「彼女にも会ってみたいな。良かったら、一緒に捜してくれないかな」
カヲルを睨む霧亥
応える様子もなく微笑しているカヲル
目を逸らす霧亥 無言で彼をよけ、歩き出す
快いくらいの笑顔で隣に並びながら、ふと目顔で背後のアスカを示すカヲル
 .カヲル「彼女は? いいのかい、一緒に行かなくて?」
居心地悪そうにほんの少し振り返る霧亥
ぱっときつい表情を繕うアスカ
 霧亥「…来るか」
ここぞとばかり両脚を踏んばり、顎を反らし、きっぱりと言い返すアスカ
 .アスカ「イヤ」
沈黙 顔を戻す霧亥
見守っていたカヲルが柔らかな笑みを向け、後に続く
 .カヲル「それじゃ。会えて楽しかったよ」
通廊に取り残されるアスカ
みるみる肩が尖る 握りしめられる拳
 .アスカ「…もう、わかったわよ! 待ちなさいってば!」
床面に踵を鳴らし二人を追いかけるアスカ

124 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:49:29 ID:???
格納廠 冷却槽に固定された初号機前
無人の整備橋梁に一人立つ碇
見上げる横顔に解読可能な表情は窺えない
廠内を構成するさまざまな人造構造物 高く堅牢な累壁に長年増設を重ねられてきた設備類
整備用通路の床は何重にもなった油じみで汚れ、入り組んだ配管の間には古い手書き文字の列
暗闇の底に点在する常夜灯 その周囲だけ小さく浮き上がっている空間の細部
隅の作業卓の上にきちんと整頓されて並べられた何かの機械式装置の部品一式
電源を落とされた管制コンソール群の脇の定期点検表 再密封された食べかけの携帯口糧
巨大な格納廠のあらゆる表面を埋めた無数の人の手の痕跡を眺める碇
再び初号機の頭部を見つめる
かすかに口元に力がこもる
視線を外し、手袋を外し持った自分の片手を見下ろす
もう一方の手が胸の前で開かれ、拳になり、また強く開かれる
見据える碇
やがて再び表情を消し、きびすを返して歩み去る

125 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:52:39 ID:???
振り返るレイ
常と変わらない顔の霧亥 以前に倍する敵意と当惑を剥き出しているアスカ
親しげに微笑を向けてくるカヲル
何の感情も表さず三人へ向き直るレイ
  .レイ「…何」
落ち着かない様子で左右の二人を睨み、口火を切るアスカ
 .アスカ「このニヤニヤ男があんたに挨拶したいそうよ。…知ってるでしょ。今日来た五人目」
  .レイ「そう」
表情の欠落したようなレイ
鋭く息を吸い込み、苛立った顔でカヲルに刺すような視線を投げるアスカ
 .アスカ「…ほら、お望みのファーストチルドレンよ。何とか言ったらどうなのよ」
唐突に一歩踏み出すカヲル 人間離れして見えるほど白く整った横顔
我知らず気圧されるアスカ
無言の霧亥
 .カヲル「君がファーストチルドレンだね。綾波レイ。最初の適格者。階層初のエヴァパイロット」
どこか遠い微笑を含ませレイを見つめるカヲル
 .カヲル「君は僕と同じだね」
初めてかすかに眉根を寄せるレイ
  .レイ「…あなた、誰」
答えず身を引くカヲル
人当たりのいい顔を取り戻し、アスカと霧亥に笑いかける
 .カヲル「さて、これで全員揃ったわけか。せっかくだから、みんなでどこかへ行かないかい?」
ようやく理解可能な状況に行き当たって反発するアスカ
 .アスカ「どこかって、どこよ。もう遅いし、上の街は廃墟だし、気晴らしになる場所なんてないわ。
     それとも本部施設の案内でもしろってわけ?」
 .カヲル「…そんなことは言っていないさ」
きまり悪げな笑みを浮かべ、困惑したように霧亥を見るカヲル
眉をひそめる霧亥

126 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 12:54:14 ID:???
 冬月「フィフスがレイと接触した」
黙している碇
渋面を報告書に向ける冬月
 冬月「彼の機体とされている先行実装型は未だ先方だ。最終試験中に問題発生のため、こちらへの輸送時期は
     未定となってる。恐らく正式な日時が決定されるのは、今回の件が全て済んだ後だな」
初めて目を上げる碇
視線に気づき、硬い表情で首を振ってみせる冬月
 冬月「…お前の望みはわかる。
     だが今回ばかりは、あのサードチルドレンでもどうにもできまい。わかっているだろう」
いかなる言葉も拒む険しい面差を逸らす碇
溜め息をつき、執務を続ける冬月

格納廠、初号機前で落ち合うミサトと日向
二人の立つ一角にはサードチルドレンサルベージ前後に使用された重磁遮蔽材が残されている
念を入れて機材の陰に潜んで小声で会話する二人
まるで密会だと渋い顔をしてみせるミサト 苦笑する日向
簡易端末にコピーされた一連のデータ
  .ミサト「これが、フィフスの彼のシンクロデータ?」
 日向「実際にエヴァ本体と接合した結果じゃないですから確言はできませんが、恐らくこの試算通りです。
     …伊吹二尉の端末から、無断で拝借しました」
  .ミサト「すまないわね、こんな真似ばかりさせて」
 日向「構いませんよ、個人的にも興味ありましたし。…それより内容を。あまり時間ないですから」
  .ミサト「わかってるわ…、…! まさか、これって」
 日向「そのまさかです。エヴァの運用理論を根底から覆す存在ですよ。あの少年は」

127 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 13:00:52 ID:???
  .ミサト「エヴァとのシンクロ値を自由に変えられる…それも、自分の意志で」
 日向「マヤちゃんが隠したがるわけですよ。
     …それと、これもわかりました。もしかしたらこっちの方が重要になるかもしれません」
身を寄せてとある座標を囁く日向
 日向「…リツコさんの居場所です」
表情を引き締めるミサト
  .ミサト「…ありがと。よく突き止めてくれたわ」
端末の記録を物理消去し、別々にその場を離れる二人
油断なく広い空間を一瞥するミサト
  .ミサト「さあて、と。…またもなりふり構ってらんない、か」

ジオフロント外縁 堆積層隆起内部
都市のどこかから運ばれてきた古代遺財の間を歩く四人
無機的な構造壁の合間にかつては人が使っていたとおぼしい物品が無秩序に集積されている
往時の第三新東京市がモデルにしていたような貴重な道具類も数多い
雑多な器物や装備や設備の密集した複合体の内部隘路を進む一行
 .カヲル「これが第二空洞の内部堆積層か。実物は初めてだ。やはり壮観だね」
 .アスカ「感心するのはいいけど、こんなとこ勝手に入っていいの? 第一級の嗣財鉱脈じゃない」
 霧亥「侵入防止機構は設置されてない」
 .アスカ「…そりゃ結構なことで。つまり、手つかずのまま放置された区画ってこと?」
  .レイ「第三次以降の調査計画は無期限凍結中ね」
一瞬レイに目をやるアスカ
 .アスカ「知ってるわよ、それくらい。…要するにここも廃墟ってことでしょ。で、これのどこが
     他とは違うってのよ。それともこの先に何かあるわけ?」
 霧亥「…お前の気に入るかは知らない」

128 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 13:02:23 ID:???
先を行く霧亥に並んで振り返るカヲル
 .カヲル「行ってみればわかるさ。まだかかるのかい?」
 霧亥「あと300m先だ」
抵抗なく霧亥に話しかけるカヲルを睨むアスカ
やや開けた場所に出る一行
息を呑むアスカ 顔をほころばせるカヲル かすかに表情を開くレイ
構造材の隙間に埋設された巨大な平面モニター
高さ10mを越える大画面に鮮やかな高解像度映像が明滅している
人々の行き交う大都会、失われた装いの男女の接写から急転する情景群、やがて波の砕ける海辺へ
映像連鎖は堆積層そのものと同じく全く無作為に変化し続ける 音声はない
思い思いの場所に陣取って黙っている四人
ふと没入から醒め、霧亥を見るアスカ 変転する反映に洗われた横顔
  .レイ「…こんな場所があるのね」
 霧亥「前に見つけた。どういう物かは知らない」
霧亥の隣で寛いだ様子のカヲル 無心に映像に見入っている
ふいにアスカを振り返る霧亥
 霧亥「惣流」
 .アスカ「…、何よ」
 霧亥「これは退屈か?」
虚をつかれてまじまじと霧亥の顔を見つめ返すアスカ
やがてふんと顔をそむける
 .アスカ「別に、悪くないわ。無粋不調法なあんたにしては、まあ上出来よ」
 霧亥「…ならいい」
顔を戻す霧亥
一人声をたてずに噴き出すアスカ
レイの視線に気づき、一瞬躊躇した後、思いきったように同盟者の笑みを送る
あからさまにとまどうレイ
さりげない一瞥でそれらを見て取り、微笑むカヲル
高い画面の中で盛り上がり眩しい飛沫を散らして砕ける楽園の波

129 :log.24 最後のシ者:2006/12/22(金) 13:05:51 ID:???
独房のリツコ
一脚だけの椅子の背後に立つミサト
  .ミサト「リツコ」
  リツコ「…ミサト? よくここがわかったわね」
  .ミサト「訊きたいことがあるの」
  リツコ「言葉には気をつけて。ここでの会話、録音されるわよ」
  .ミサト「構わないわ。他に確かな筋がないもの」
深くうつむいているリツコ
  .ミサト「あの少年の、フィフスの正体は何」
動かないリツコ
  リツコ「…恐らく最後の使者よ」


log.24 続

130 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/12/28(木) 13:21:55 ID:???
さて保守

131 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2006/12/31(日) 11:16:06 ID:???
hoshu

132 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/01/06(土) 11:36:54 ID:???
hoho

133 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/01/09(火) 21:05:00 ID:???
homo

134 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/01/14(日) 10:29:14 ID:???
momo

135 :log.24 最後のシ者:Bパート:2007/01/15(月) 10:45:04 ID:???
照明の落とされた本部通廊を歩く霧亥とカヲル
迷路めいた無人の廊下が薄闇の奥へ続く
アスカとレイの姿はない
無言無表情の霧亥の傍らをごく寛いだ様子で歩き続けるカヲル
滅多に人の立ち入らない施設深部の静寂
既に使用されていない幾つもの区画 閉鎖された巨大配管系統 封鎖後に動力遮断された廃棄実験場
先のジオフロント攻防戦で広範囲に渡って破壊された跡 中断された補修工程
ネルフの主要部署占有区画を除く施設の大半は今や沈黙している
 .カヲル「それでも、外部からの侵入を拒む砦としての機能はまだ生きているようだね。今のままでも、
     階層各所で建造中のシェルター群などより、独立した植民拠としてよほど完成されている。
     ここを造った人の意志が窺えるね。そしてその絶望が」
唐突に声が遠くなる
 .カヲル「…君は帰らないのかい?」
数歩行き過ぎて肩越しに振り返る霧亥
立ち止まっているカヲル
 .カヲル「あの二人は帰ったんだろう? 自分の家、自分の部屋に。一人に戻るために」
返答せず歩き出す霧亥
ふいに傍らを睨む
軽い足取りで追いついて微笑するカヲル
 .カヲル「そして、再びまた他人と接するために」
顔をそむけるが特に振り切らない霧亥
 .カヲル「帰りたくないのかい?」
 霧亥「わからない」
 .カヲル「そう。…良ければ、聞かせてくれないかな。どんなところなのか」

136 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 10:45:55 ID:???
 霧亥「何がだ」
 .カヲル「君の家だよ」
隣を見る霧亥
底意のない微笑を返してくるカヲル
遙望の開けるような両目 視線を逸らす霧亥
暗い通廊に続く足音
 霧亥「…惣流と葛城がいる。前は他に動物がいた」
 .カヲル「動物? 本物のかい?」
 霧亥「ああ」
 .カヲル「凄いね。見てみたかったよ。…今はいないのかい?」
 霧亥「葛城が手放した。知り合いが疎開先に連れていったはずだ」
 .カヲル「そうなのか。…寂しいものだろうね。慣れ親しんだ存在がいなくなることは」
 霧亥「応えてるのは葛城だ」
 .カヲル「帰らなくても、わかるのかい?」
 霧亥「本部で顔は見てる」
 .カヲル「…そう、…だから、君は帰りたくないのか。葛城三佐の家に」
返答がない
霧亥を見るカヲル
何も積極的には表に出さず黙っている横顔 両目は前方を見据えている
少しの間視線を預けるカヲル
 .カヲル「…それでも、彼女は君がいなくて寂しいと感じていると思うよ」
若干強い動作で振り向く霧亥
立ち止まっている二人
臆面なく正対するカヲル

137 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 10:47:25 ID:???
 .カヲル「怖いのかい? 人と触れ合うのが。
     人と関わらなければ損なうことも疎んじられることもない。だけど動機を得ることもないよ。
     人は無限にさまよい続けることもできる。人は一人だからね。ただ確かな目的が備わるときにだけ、
     その歩みは一つの旅になれるのさ。それが世界の果てまで続く孤独になったとしても」
何も答えずカヲルを凝眸する霧亥
正面数mのところで進路を塞ぐ隔壁と機能重層 壁の向こうを占める本部基幹構造の一角を見やるカヲル
同じ方向を見る霧亥
 .カヲル「…もう、終わりなのかい?」
 霧亥「今日は戻る。ここからは進めない」
長い年月の間に隙間なく増設された古い環境維持設備を見上げる二人
圧倒的な深部構造の闇
不動の両者
 .カヲル「…常に人間は、時間の中に何かを失い続けている」
カヲルを見る霧亥
 .カヲル「失うのを止められないから、その現実に抗して流れの中に何かを成し遂げようとする」
目が合う 微笑んでいるカヲル
 .カヲル「祈りのように強靭だね。特に君という存在は」
険しい目つきになる霧亥
 霧亥「なぜ俺なんだ」
逸らさずに視線を合わせてくるカヲル
 .カヲル「君が、霧亥だからさ」

138 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 10:49:15 ID:???
本部施設内 カヲルの個人居留区画
両壁の収納龕を埋めた大量の古いハードコピーに瞠目する霧亥
諸分野の文字記録物だけでなく絵画らしきものや何かの設計図の類まで散見される
手擦れした譜面の一つを抜き取って引っくり返す霧亥
どこかおかしそうに眺めているカヲル
 .カヲル「それは楽譜。かつて演奏された歌を記したものさ」
 霧亥「歌」
 .カヲル「そう。言葉が人の作り出した文化の基なら、歌はその極みだよ。
     同じ発される音の連なりから生まれながら、既に言葉を必要としない。込められた意味が
     忘れられても、歌は、その響きに心を潤す者がいる限り、それ自体として残り続けるのさ」
カヲルに視線を移す霧亥
両腕を頭の下で組み狭い寝台に仰臥しているカヲル 目を上げる
 .カヲル「…やはり、僕が下で寝ようか?」
 霧亥「いや」
楽譜を元の場所に収め、渡された掛布を掴んで壁際にうずくまる霧亥
照明の消された室内
闇の中から向けられているカヲルの視線
一度閉じた目を開く霧亥
 霧亥「…なんだ」
かすかに目を見開くカヲル

139 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 10:50:43 ID:???
 .カヲル「…、何というわけではないんだけど」
若干眉間にしわを寄せる霧亥
苛立ったように無意味に姿勢を変える
 霧亥「お前は何を言いたい」
いぶかしげに見つめ返すカヲル
顔をしかめ、該当する言葉を捜す霧亥
 霧亥「お前は…何か、俺に話したいことがある。惣流や他の人間にじゃなく」
小さく口を開くカヲル
やがて痛みと慰藉の混在する表情で微笑む
沈黙が破られるのを待つ霧亥
 .カヲル「……いろいろ考えたよ。こうして、基底現実に転送されて。
     ここに来る前は名前がなかった。僕という存在もね。…君は、もう知っているのかな。
     僕らはログなんだよ、霧亥。何十世紀も何百世紀も以前に存在した、或いはしたとされている
     一連の事象のね。再活性化された記録、基底現実に解凍された、過去の情報に過ぎないのさ」
黙っている霧亥
 .カヲル「記録は経過する時間の中で磨耗し、失われ、原形をとどめてはいない。そもそも太古の時代に
     その通りの事象が実在したのかどうかさえ、今ではもう確かめようがないんだ。あまりにも
     時間が経ちすぎてしまったからね。ただ、名前だけは残ったのさ」
天井を見つめているカヲル
 .カヲル「存在した事象、その記録の存在を、唯一悠久の時の流れの果てに伝えるもの。それが名前だよ。
     かつてそれが起こったということの、最後に残される痕跡。たとえその表す原義は失われても、
     最小単位のその言葉だけは真実なのさ。
     本物の渚カヲルが僕と同じ形をしていたとは限らない。本来エヴァと呼ばれていた存在も、
     今君が知るような姿ではなかったかもしれない。けれど、そう名づけられたという意味において
     それらは等価であり、そう機能するんだ」

140 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 10:51:44 ID:???
言葉を切り、幾分翳りの晴れた表情で霧亥を振り返るカヲル
 .カヲル「僕らはログだが、同時に基底現実の現在での主体でもあるのさ。…君と同じにね」
無心な好意の湛えられた顔を見据える霧亥
短い間の後で頷く
少し考えて付け加える
 霧亥「…ああ。そうだな」
初めて、相手の存在の背後にある個性を心から認識したようなカヲル
破顔する
 .カヲル「…僕は君に会うために生まれてきたのかもしれない」
無言で視線を返す霧亥

堆積層深部
最初期坑道の澱んだ闇の底で遺棄された旧式端末を発見する加持
 加持「やはり、こんな踏査初期の設備は放置されたままか。
     ここまで潜ってくる物好きも、まして接触する人間もないと見てそのまま引き上げたんだな」
荒れ果てた坑内の暗闇
大型工作機械の掘削跡に混じって奇妙な古い爪跡らしきものも見える
背負ってきた装備の中から軽蓄電槽を下ろし、手早く各部に繋いで端末を起動する加持
細い帯電光 徐々に明るくなる画面群
わずかな反映に照らし出される加持の顔
 加持「…だが、古いものでも案外役に立つこともあってね」
塵埃の層の下で急速に活性を帯びていく端末

141 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 10:53:29 ID:???
膝に投げ出した両腕の上にうなだれているリツコ
固定された光源と影
背後に立つミサト
  .ミサト「あの少年は、こっちでも可能な限り行動を追跡してるわ。効果があるかどうかはともかく」
  リツコ「…そうね。霧亥君が、常時私たちの監視下におかれてたようにね」
かすかに顔を強張らせるミサト 構わず続ける
  .ミサト「これまでのところ、彼がセントラルドグマやケイジのエヴァへの侵入を企てるような気配はなし。
     技術局が把握できる範囲において、本部施設への情報的干渉も起きてないわ。アスカやレイとも
     問題なく接してる。こちらが設定した接合適性試験は、もちろん何の支障もなくパスしたわ。
     言うなれば、全く完璧な優等生ね。…ただ、霧亥君にだけは明らかに特別な興味を示してる」
軽く両肘を抱くミサト
  .ミサト「…彼の目的が掴めないのよ。たとえ委員会直属の代行者だとしても、ここに直接入り込んで、
     こうまで私たちに接触してくる理由は何?」
ごくわずかに頭を上げるリツコ
  リツコ「…あなたらしくないわね。ここまで他人に頼るなんて」
唇を噛みしめ、リツコを見るミサト
  .ミサト「そうかも、ね。…また、浮き足立ってんのかもしれないわ。確かに」
続く言葉は飲み込まれる
腕を下ろし、きびすを返すミサト
  リツコ「行くのね」
  .ミサト「ええ。発令所へ」
  リツコ「目的が何であれ、使徒のターミナルドグマ侵攻だけは何としても防がねばならないわ」
  .ミサト「わかってるわ。それが私の仕事だもの。…あなたは? 赤木リツコ博士」
  リツコ「もう私の仕事は終わったわ。少なくとも外部侵攻まではね」
足音を響かせて立ち去っていくミサト
最後に振り返る
  .ミサト「…じゃ、先に行くわ」
動かないリツコ

142 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 10:54:17 ID:???
本部通廊で行き会うアスカとレイ
一瞬、互いに沈黙
わずかな間を置いて、先に口を開くレイ
  レイ「…おはよう」
ほんの少し息を吸い込むアスカ
 アスカ「…、おはよ。…キリイは? ゆうべ、また帰んなかったのよ。あの馬鹿」
  レイ「わたしはまだ会ってないわ」
鞄を持った片手を腰に当て、顔をしかめるアスカ
 アスカ「ってことは、まだ例の五人目と一緒だったりするわけ? もしかして」
表情を硬くするレイ
気のない顔をしながらその変化に目をとめるアスカ
 アスカ「…一体、何者なの。あいつは」
黙っているレイ その顔に漂う常にない緊張
軽く唇を噛みしめるアスカ
 アスカ「ま、ここで勘ぐっても仕方ないか。…とにかく、気持ちの準備ってやつはしといた方が良さそうね。
    本題が始まる前に」
ややぎこちない距離をおいて並んで歩いていく二人

143 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 10:56:22 ID:???
坑道深奥
何箇所目かの遺棄端末前に腰を下ろしている加持
表示される文字列に厳しく目を細める
 加持「…なるほど。これが、使徒が第二空洞に襲来する理由か。
     そして同時に、太古の接続時以来、堆積層深部に残されたまま徘徊し続けるセーフガードが
     今なお復元ネット端末遺伝子本体に近づけない理由でもあるわけだ」
鋭い一瞥を後方に投げる加持
粗く掘り抜かれた坑道の入り口近くに散らばった古い駆除系SGの躯体
いずれも坑道に入ろうとした姿勢で完全に機能停止している
強い嫌悪の眼差を向ける加持
 加持「…そして恐らくは、彼も同様だな」
端末前から立ち上がる加持
装備を取りまとめ、真っ暗な坑道の先に向かって歩き出す
 加持「これまでの使徒のような大容量体か、或いは純粋なデータ体ででもない限り、ユニットは
     ターミナルドグマに侵攻できない。だが、階層の閉鎖はただ一つの方法を除いて完全であり、
     また巨大形態はこれまで全て撃退されてきた。人の造り出したエヴァンゲリオンによって」
厳しい面持ちを崩さない加持
 加持「人の形を擬装した行動体が、ターミナルドグマを目指す方法はただ一つ。
     …この一件、どう始末をつけるつもりですか。碇司令」

144 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 10:57:13 ID:???
格納廠主隔壁前
閉鎖中の拘束壁に埋め込まれた初号機の上腕の一部が冷却材の液面上に見えている
無表情に佇む碇の長身
暗い空間に足音
現れる霧亥
若干の距離をおいて正対する両者
  碇「全て、伝えた通りだ。経路上の警備は解除した」
答えず、再び歩き出す霧亥
動かない碇の傍らを通り過ぎる
一瞥
彫像のようにうなだれている碇 陰に閉ざされた表情は解読できない
碇を背後に残し、確かな足取りで歩いていく霧亥

同所 後刻
照明された格納廠内
主整備橋梁の側端に佇んでいるカヲル
足下数mに広がる冷却材の漿面
ごくかすかな笑みを含ませ、振り返るカヲル
 カヲル「さあ行くよ。おいで、偽りの非正規生成体。そしてリリンのシモベ」
片足が橋梁から踏み出す
と、何の支えもなしに宙に浮き上がる
稀薄な光の靄をまとい音もなく昇っていくカヲルの身体
その背後で、初号機の両眼窩が烈光をはらむ

145 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:00:18 ID:???
 日向「エヴァ初号機、起動ッ!」
  .ミサト「なんですって?! 霧亥君なの?!」
 青葉「いえ、格納廠への進入感知記録はありません! 未だ所在不明です!」
  .ミサト「では誰が?! …、まさか!」
 伊吹「無人です! 初号機には、エントリープラグの挿入、ないし神経接合・操縦機能を備えた
     設備の接続は一切なされていません!」
  .ミサト「誰もいない? フィフスの少年ではないの?」
警報の鳴り響く発令所
管制階に詰めたオペレータ三人 背後に一人立つミサト
既に司令階に着いている碇、冬月
 冬月「先の緊急監査を受けて、S2機関及び機体情報構造の再調査のため、自立干渉機能を持たない
     完全受動型の観測用プラグが封入されたままだったからな。本来なら起動する手段はない」
無言で主画面に視線を据えている碇
新たな警告音
 青葉「セントラルドグマにATフィールド検出!」
  .ミサト「初号機?!」
 日向「いえ、パターン青! 間違いありません!」
全ての動作を中断されるミサト
  .ミサト「使徒?」
監視機構の一つが目標の映像を捉える
炯炯と眼光を放つ初号機に守られ宙に佇むカヲルの姿 白い硬質の微笑
なすすべなく見上げるミサト
  .ミサト「使徒だと言うの。…あの少年が」
初号機は拘束設備を脱し、隔壁を破壊して主茎洞に侵入する
 青葉「初号機、メインシャフトを降下します! …駄目です、リニアの電源が切れません!」
 冬月「セントラルドグマの全隔壁を緊急閉鎖だ! 少しでもいい、時間を稼げ」
.オペレータ『目標、第四層を通過! …第五層、通過!』
.オペレータ『装甲隔壁は、エヴァ初号機により物理突破されています!』
.オペレータ『初号機、周辺端末からターミナルドグマ警備システムに侵入! …第三防壁まで突破されます!』
組んだ両手で口元を隠した碇
   碇「…総員、第一種戦闘配置。電戦防衛にはMAGIを全面投入。目標は、弐号機に追撃させろ」
  .ミサト「はい」

146 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:01:38 ID:???
一人弐号機内で待機しているアスカ
弾かれたように顔を上げる
 アスカ「あの五人目が、使徒? エヴァ初号機が…敵…?!」
常態と変わらないプラグ内動作機構の唸り 電化し接続相を形成したLCL
 アスカ「…キリイは!」
  ミサト『所在が掴めないの。彼がいない以上、起動した初号機を止める手段は他にないわ。
     今は、初号機のターミナルドグマ侵攻の阻止。その一点にだけ、集中して』
冷徹なミサトの声
噛みつくように声をあげるアスカ
 アスカ「待ってよ、あいつのエヴァを、目標として制圧しろっての? …私が?!」
  ミサト『それが状況よ。受け止めて。出撃、いいわね』
 アスカ「…嘘」
両肩に予備蓄電甲を取りつけられ、シャフトへ切り離される弐号機
背面上部から突き出した擬円筒状の試作航洞装置
降下していく機体の中で未だ呆然としているアスカ
 アスカ「…嘘よ。嘘でしょ。どうなってんのよ。…どこにいるのよ、キリイ!」

いつにない重圧に覆われた発令所
碇の肩口に厳しい顔を寄せる冬月
 冬月「よもや、ゼーレが直接送り込んでくるとはな」
   碇「ああ。老人たちはあくまでシナリオ通りに事を運ぶつもりだ。我々の手で」
 冬月「しかし、なぜ初号機を? 弐号機なら融合すら可能だったというのに」
組んだ両手に力を込める碇

147 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:03:13 ID:???
航洞場と磁圏走路に支えられ縦坑を降下する弐号機
下方に初号機を視認する
 アスカ「…いた!」
巨大周壁に囲まれた闇
緩く身体をたわめ、曲げた両腕で細い胴部の正面に一点の光を抱えている初号機
見上げるカヲル
その両目が翳る
瞬間、自分でもそれと知らず逆上するアスカ
 アスカ「あんたッ!」
掴みかかる弐号機
突然の俊敏さで向き直り、その手を受け止める初号機 一閃するATフィールド中和諸効果
シャフトを降下しつつ全力で組み合う両機
降下する機体を互いの胴部に押しつけた片脚で安定させ、固く両手を掴み合う
激しく拮抗する二つの巨躯
醒めた目で見守るカヲル
そのすぐ正面で初号機の手を押し返す弐号機
 アスカ「あんた…そうなの?! このために来たの、最初っから?!」
見下ろすカヲル
白い微光に包まれた姿
本能的な畏れに襲われるアスカ 短く息を吐いて振り払う
 アスカ「キリイは?! あんた、知ってるんじゃないの?! キリイはどうしたのよ!」
目を伏せるカヲル
遼遠の覗くような声音
 カヲル「…来てくれなかったよ」

148 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:04:24 ID:???
咆哮する淵洞の闇
互いの脚と握り合った片手で相対位置を固定し、同時にプログナイフを抜くエヴァ両機
噛み合った刃が超振動の火花を散らし、耐えきれず両刀身が折れる
弾かれた切っ先が宙のカヲルに飛ぶ
 アスカ「!」
黒閃
巨大な刃の運動量を完璧に無効化する輝面
顕現した場が余剰エネルギーすら強引に変化させこの世のものとは思えない尖影の交錯へ変換する
測定された状況を即時理解しつつも息を呑むアスカ
 アスカ「…ATフィールド…!」
位相境界の向こう側のカヲル
 カヲル「そう、君たちリリンはそう呼んでるね。
    いかなる物体も干渉できない絶対領域。純粋なる情報界よりの光。
    駆け巡る情報の挙動が、争うシステム間のせめぎ合いが、基底現実の現象をも決定する。今のこの
    分断された都市連続体においては特にね。エヴァは僕と同じ身体でできている。言語基体の配列さえ
    掌握できれば動かせるさ。この初号機は、初めから、操縦者の存在を想定して設計されていないから」
一切の言葉を失っているアスカ
笑うカヲル
 カヲル「リリンもわかってるんだろう?
    ATフィールドとは、誰もが持っている個性の固有情報格子そのものだということを」
全身を震わせているアスカ
折れる一歩前の表情で叫ぶ
 アスカ「…そんなの知らないわよ! 使徒ッ!!」

149 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:06:07 ID:???
坑道底部
次第に近くなる震動を聞く加持
 加持「委員会、いやその背後のゼーレは、アダムや使徒を必要としない人類の補完を決定した。
     最後の使者を自ら送り込んだことで、彼らは予定を一つ繰り上げるつもりだ。現存する
     居住形態の否定、そしてネットのカオスへの殉教を、唯一の贖罪方法と信じて」
暗闇に沈んだ諸構造を微震動させる遠い戦闘衝撃
 加持「裏死海文書にその存在のみが記載されていた、計十七基の階層内旧接続実験施設。我々のでは
     ない時代に建造され、未だに発見できないそれらを確実に破壊するために、彼らは使徒襲来
     それ自体をもシナリオに組み込んだ。…積極的に許容できたわけじゃないはずだ。だがいずれ
     到来する既定事象として受け止め、その備えを固めた。
     第一・第二の接続基たる人工端末遺伝子。現行居住人類にとって忌むべき存在たるそれらの
     複製器能体を、人類自身の手によって、この階層に建造することで」
突然の轟音とともに層壁の向こうを降下していく二つの巨大物体
見えないその行方を追い、表情を厳しくする加持

150 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:08:07 ID:???
 アスカ「……ごめん、キリイ!」
中心線をやや外して初号機の額深く打ち込まれる弐号機のプログナイフ
噴出する過熱粒子の奔流
暫時押されるままに頭部をのけぞらせる初号機
が、速やかに装甲下から黒い異組織が湧き出して損傷を覆い、硬度を増して弐号機のナイフを絡め取る
武器を喪失する弐号機
急転 眼閃を残し、初号機は躊躇なく折れた刀先を振り下ろす
と、その動きが一瞬凍りつく
初めて表情を見せるカヲル
機を逃した切っ先は僅差で弐号機を擦過する
即時反撃に転じる弐号機
初号機の手首を捕らえ力を込める 取り落とされ、下方の闇に消えるナイフ
続いて自分のナイフを取り戻そうとするが、頭部破創を修復した黒体が一気に刀身を侵食する
砕け散る弐号機のプログナイフ
舌打ちし、操縦桿を握り直すアスカ
 アスカ「…キリイでもないのに、勝手に人のエヴァに乗ってんじゃないわよッ!!」
猛然と素手で組みついていく弐号機
崩れる相対距離 降下軌跡が大きく乱れる
断続する震動を茎洞の闇に残し激しく格闘する両機
機体知覚域の遙か下方に、終着点たる床面反応

 加持「…そして、彼らはついに使徒の出現そのものを防ぐ試みは行わなかった。
     それは碇司令も同じだ。
     確認できた当時のログから読み取れる限り、所詮、彼らと同じく完成されたシナリオを
     前提に行動しているに過ぎない」
孤独に頭上を仰ぐ加持
膨大な距離を埋める巨大構造物の集積
 加持「十五年前…いや、そのずっと前から、俺たちは遅すぎたのかもしれないな。
     …だが、君ならまだ、どうすれば全てを止められるかわかってるはずだ。…葛城」

151 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:09:53 ID:???
発令所主画面 刻々と図示されたドグマを下っていくエヴァ両機の標示
.オペレータ『エヴァ両機、最下層に到達』
.オペレータ『目標、ターミナルドグマまで20』
コンソールの日向の肩越しに顔を寄せるミサト
   .ミサト「…もし弐号機の信号が消えて、もう一度変化があったときは」
  日向「わかってます。ここを自爆させるんですね」
キーにかかった日向の指
  日向「サードインパクトを起こされるよりマシですからね」
   .ミサト「すまないわね」
  日向「いいですよ。あなたと一緒なら」
   .ミサト「…ありがとう」
主画面を前に影になった両者の姿
等速で落下する二つの輝点

 アスカ「…これじゃ底に着いちゃうじゃない!」
稼動限界を強制キャンセルされ最大出力で再起動する航洞装置
両機の周囲の空間が甲高くひずみ、降下速度が徐々に落ちていく
勢いを取り戻す弐号機
一体となって掴み合い抱え合うエヴァ両機
互いの装甲に喰い込む硬直した五指
なおも轟音とともに遡上する暗闇
既に先の動揺は抑制され、白い無表情な顔を流れる空間に向けているカヲル
 カヲル「…人の行く末か。
    人の歩みは終わりのない苦難に綴られているね。どれだけの時間が過ぎても」
閉じられる目
突如、堆積層の全階層を貫いて震撼する縦坑

152 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:11:05 ID:???
揺れる全観測画面
  .ミサト「どうしたのっ!」
 日向「これまでにない、強力なATフィールドです!」
 伊吹「大規模な情報インパルスが、周辺全施設を貫通! ドグマの全監視・防衛システム、沈黙します!」
 青葉「物理的にも、光波、電磁波、粒子、全てが遮断されています! 何もモニターできません!」
  .ミサト「…まさに侵入対抗電子空間か」
身体の脇できつく握りしめられるミサトの手
側頭部下に意識される加持の記憶素子
 伊吹「目標、エヴァ両機ともにロスト! パイロットとの連絡も取れません!」
表情を引き締めるミサト
  .ミサト「…エヴァ両機への影響は!」
ほとんどの端末が応答消失した中、懸命に情報収集を試みるオペレータら
 日向「不明ですが、恐らく…!」

活動停止し、帯電した靄を曳いて落下する初号機と弐号機
相次いで縦坑底に没する
一面に湛えられた反応緩衝材が巨大な水柱をあげる
暗転したプラグの中で頭を起こすアスカ
 アスカ「う…、あいつは?」
何度も操縦桿を引き、応答しない機体に唇を噛むアスカ
 アスカ「ここまでだっての!? …ッ、勝手に置いてかれてたまるもんか!」
機外へ突出するプラグ
自動ハッチが開くのももどかしく外にもがき出るアスカ カヲルの姿を捜す
突然、その眼前を横切る大質量
再機動しうねる漿面から身を起こす初号機 沈黙した弐号機を見下ろす
眼光
怯むアスカ
初号機は装甲の割れた頭部を巡らせ、カヲルの後に従って動き出す
声も出せずに見送ることしかできないアスカ
ふいに頭上を仰ぐ
 アスカ「…何?!」

153 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:12:28 ID:???
  .ミサト「状況は!」
 日向「ATフィールドです!」
 青葉「ターミナルドグマの侵入対抗領域周辺に、先と同等のATフィールドが発生!」
  .ミサト「まさか、新たな使徒?!」
 伊吹「相互干渉効果が収束! 領域内に侵入していきます!」
 青葉「駄目です、観測限界を外れます! 走査が間に合いません、…?! あ、いえ、消失しました」
  .ミサト「…消えた? 使徒が?」
無言で状況を見守る冬月
一人、険悪なまでの緘黙に沈み込んだ碇

主茎洞最下層
巨大な空間の上部構造突端に立ってドグマを見下ろしているレイ
解読不能な表情を湛えた顔

ターミナルドグマの巨大身廊を進むカヲル
その背後を黙然と歩む初号機の巨躯
暗い空間に聳える扉
隅に設けられた有人通路の傍らに小さく表示がともっている
区画CL3 LCL製造施設
警備装置を一瞥するカヲル
連続する開錠音 人々の建造した重層隔壁が軋みと呻きを残して開いていく

 青葉「最終安全装置、解除!」
 日向「ヘヴンズドアが開いていきます…!」
  .ミサト「ついに、たどり着いたのね。使徒が。
     …日向君」

閉所の暗闇で目を開く霧亥


154 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:15:27 ID:???
微光に包まれたLCLの湖面
闇に溶けた背景
赤い十字架に磔にされた白い巨人
カヲルを前面に、煙るようなLCLの波を割って進む初号機
一面に立ちこめる靄の反映
初号機の眼前に浮かび、白い無特徴な躯体を見上げるカヲル
LCLに照らし上げられた横顔
 カヲル「アダム。我らの母なる存在。アダムより造られしものは、アダムに還らねばならないのか。
    太古の記録が示す通りに。或いは、構造基底に記載された排除命令に従って。
    …ともに今あるものを滅ぼしてまで」
唐突に途絶える言葉
はっきりと険しさを浮かべるカヲルの両目
 カヲル「……違う」
生白く未分化な人型の頭部
 カヲル「これは…リリス」
背後に立つ初号機の沈黙
 カヲル「…そうか。そういうことか、リリン」
突如初号機に動きが甦る
かろうじて振り返るカヲル
直後、宙を薙ぐ轟勢とともに初号機の手がその身体を掴む

155 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:16:16 ID:???
長く響く機体の息遣い
無限遠を見つめているような双眸を見上げるカヲル
半分ほど排出された遮蔽プラグ内から肩部装甲に降り立つ霧亥
取り外された整備ハッチ跡からじかに機体に繋がれた腰部接続端子の束を片手で引き抜き、顔を上げる
初号機の視軸上で相互視認する両者
不動の数秒
カヲルに向けられる重力子放射線射出装置
閃光
両目を見開いたカヲルのすぐ傍を疾過し、背後の磔刑の巨人に吸い込まれる光弾
一瞬の静寂後、凄まじい爆発が広大な空間を覆い縦坑を駆け上がっていく
大きく押し寄せられ逆巻くLCLの湖面
複雑な電磁効果の残響とともに跡形もなく消却されていくネット端末遺伝子第二合成体
一掃される暗闇
大きく破壊された壁面にわずかな塵の渦だけが漂う
降り注ぐLCLの飛沫の中で呆然と霧亥を見つめるカヲル
銃を下ろして頭上を仰ぐ霧亥
主茎洞内径から一切を見下ろしているレイ
やがて視線を逸らし、初号機の手が傍らに下ろしたカヲルを見る霧亥
混乱しきった表情のまま目だけで問うカヲル と、唐突に側頭部を押さえる
目を逸らす霧亥
 霧亥「そこにいろ。弐号機を回収に行く」
なおも何か言葉を捜すカヲル
と、足下が揺れる
二人を肩に、向きを変えて細かなLCLの再凝結雨の下を歩き出す初号機
既に頭上の闇にレイの姿はない

156 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:17:17 ID:???

堆積層坑道底部
しばしの茫然自失の後、こらえきれないように笑い出す加持
装備をまとめ、坑道を登り始める

騒然たる発令所
回復した監視機構の診断と状況詳握に追われているオペレータら
妙に張り切っている日向の背後で言葉もないミサト
あっけにとられている冬月
組んだ両手の陰で黙っている碇
 冬月「…まさか、お前が彼に…?」
呆然と呟き、やがて苦笑いを洩らす冬月 碇の背後の定位置で背筋を伸ばす
 冬月「まったく…先に、俺に話してくれたって良かっただろう。
     …まあいい。これから、忙しくなるぞ」
かすかに頷く碇
司令階の下で慌しく活動を続ける発令所

 .アスカ「…で、一体どうなってるのよ、この状況は」
半ば漿面下に沈んだ弐号機を引きずって縦坑の真下へ向かう初号機
大破した弐号機の航洞装置が外れて緩衝材の波間を離れていく
LCLに濡れた肩部装甲の上に並んだ四人
無言の霧亥を睨みつけるアスカ
傍らのレイ 腰を下ろし軽く両手で頭を抱えているカヲル
  .レイ「大丈夫」
 .カヲル「…ああ。断線したままだが、大分安定してきたよ」
いきり立つアスカ
 .アスカ「だから、結局何がどうなってんのよ! 誰か説明しなさいってば!」
微妙に厭そうに顔をそむける霧亥
まだ蒼白な顔ながらおかしそうに笑い声を洩らすカヲル
目をやる霧亥

157 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:18:05 ID:???
 霧亥「…ここで作られた合成遺伝子はなくなった。使徒はもう現れない」
 .アスカ「ッて、ここにいるでしょうが!」
 霧亥「そいつは違う」
 .アスカ「違うって、…ATフィールドどころか侵入対抗電子空間まで展開してたじゃない!
     あんた、乗ってたんだから見てたでしょ!」
 霧亥「…だから、もう違う」
 .アスカ「何がよッ!」
渋面になって黙り込む霧亥
かすかに表情を緩めるレイ 目ざとく気づいて矛先を変えるアスカ
 .アスカ「だいたい、なんであんたがここにいるのよ! エヴァもないくせに!」
  .レイ「わたしはこれでいいもの」
完全に混乱するアスカ
うんざりした顔でカヲルを見やり、諦める
 .アスカ「…わかったわよ。もう訊かないわよ。
     とにかく、それでこれからどうすんのよ。使徒には勝ったんでしょ。…どうなんのよ、ここは」
アスカを見る霧亥
正視されてやや鼻白むアスカ
真顔に戻っているカヲル
静かな目を向けるレイ
  .レイ「人は住めなくなるわ。もしこの行動で、外部侵攻を止められていなければ」
 .アスカ「…え?」
重い動作でカヲルの隣に腰を下ろす霧亥

158 :log.24 最後のシ者:2007/01/15(月) 11:19:29 ID:???
縦坑の径内に入り、壁の安全装置を引きちぎって非常用懸架索に片足をかける初号機
壁伝いに動力機構が起動し、不器用に機体が吊り上げられていく
初号機の片腕に抱えられて一緒に上がっていく弐号機
破損した装甲や装備が次々に落下して漿面にしぶきを上げる
 霧亥「上に戻って弐号機を修理する。…あとはあの男に訊け」
不安定に揺れる装甲上で口を開きかけ、結局言い返すのをやめるアスカ
来たときとは逆方向に眼前を流れ去っていく縦坑の闇
通り過ぎる幾つもの古い分岐坑道の入り口
人の手の造った空洞
それぞれの姿勢で黙っている四人


log.24 終
もちろんこの後どうするかは全く考えていない

159 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/01/17(水) 14:55:25 ID:???



160 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/01/18(木) 23:31:50 ID:UBZenCym
一瞬誰か分からなかったがちょっと待て…似てないだろ

161 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/01/18(木) 23:35:53 ID:???
パクリ作家

162 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/01/19(金) 10:31:42 ID:???
え、ここって別のスレのパクリなの?

163 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2007/01/24(水) 09:24:41 ID:???
相変わらずか

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